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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

助走から飛び立ち

2010年03月05日
秋田
 随分と暖かかくなってきました。足下には早々とオオイヌノフグリなどの花を見ることが出来ますし、空を見上げるとガンやハクチョウの群れが鍵となり棹となって北へ飛んでいきます。明日は啓蟄ですもんね?虫も動きだすころですかね?
 

 さて、今日は【タンチョウ】を取り上げます。先ずは↓の連続写真をご覧下さい。
 






 【タンチョウ】の助走から飛び立ちを連続して撮影したものです。全部で12枚の写真を合成したので見にくいかも知れませんが、写真に番号を付しましたので参考にして下さい。

 【タンチョウ】は助走にはいる時、特徴的な姿勢をします。①の写真がそれですが、翼を落として、軽く広げて、首を前方へと大きく傾けます。それこそが助走へはいる姿勢のようです。

 その後は翼を大きく動かして、勢いよく走り出しておよそ4歩~5歩で宙に浮きます。②からの写真にその様子がありますのでご覧下さい。
 宙に浮いた後は、一気に上昇したりはせず、障害物を避けるのに必要最低限の高さというのでしょうか?樹木や電線も余裕を持って越えるのではなく端から見ているとギリギリを越えていくように見えます。見ているこちらがハラハラするくらいに・・・。

 普段からこうして塒から餌場に移動したり、餌場を大きく換えたりするときに助走して飛び立って飛翔しているはずですが、恐らく毎回障害物を越えるのに必要最低限の高さで超えているものと思われます。なので『もしたまたま・・』と心配してしまうのです。


 最近は【タンチョウ】の人気も高まって平日でも日中は周りに人影があります。中にはちょっと適正な距離とは言えない範囲で観察したり撮影したりしている方もいます。最近巡視中に【タンチョウ】を見ている方に注意する機会がかなり増えています。言いたくはありませんがあの状況では言わざるを得ません!!

 これまでは【タンチョウ】を見に来るのは野鳥が好きな方々がほとんどでした。しかし最近は【タンチョウ】が目的で来られる方が多くなっています。それは決して悪いこととは思いませんが・・・野鳥全般ではなく【タンチョウ】しか見えていないようで、周りに生息している他の野鳥への配慮に欠ける方が多いのも事実です。近くにサギ類がいても平気で車から降りてずんずんと【タンチョウ】へ近づいてみたり、カモの群れがいるにもかかわらず【タンチョウ】が撮影しやすいポイントへ移動してしまいカモの群れが一斉に飛び立ったり・・・。
 明らかなマナー違反が目に付きます。悪気があってやっているのではないと言うことは解りますが・・・だからといって許されることでもありません。


 今年は『生物多様性年』です。今一度、自分の周りに野鳥や野生生物との付き合い方を見つめ直してみていただければ幸いと思います。