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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

西目屋村の雪山を歩こう!(前編)

2010年03月05日
白神山地
遺産センターからみえる岩木山の山頂は、一月前まではほとんど雲に隠れて見えませんでしたが、
最近ではたびたび姿を現すようになってきました。
雪が降る日も次第に減ってきたようで春が近くなってきたのを感じさせます。


さて、2月25日に西目屋小学校の4年生と一緒に
遺産センターの裏山に行ってきました。
当日は雪の反射でまぶしすぎて歩けないのでは?と思うほどの
晴天に恵まれて歩いていると汗が噴き出てきました。

小学校から歩いて移動して、
近くにある熊野宮神社で今日の安全をお祈りしてから、
足にスノーシューを履いて出発です。

途中にはウサギの足跡や、キリの実が転がっていたりと子ども達の
興味はつきません。

冬のリンゴ畑の中で作業しているおじいさんに何をしているか聞きました。
リンゴに十分太陽があたるように混みすぎた枝を今のうちに切っておくのだそうです。





そして、アクティブレンジャーを先頭にきつい上りを登っていくと、
西目屋村の田代地区が一望できます。
真ん中に移っているのが西目屋村役場で、一番右奥の緑色の建物が
西目屋小学校です。さらに奥には岩木川があります(見えないですけど)。



そして、子ども達にこう質問しました。
「江戸時代には、弘前城下ではたくさんの薪が必要で、そのために白神山地からたくさんの木が切り出されました。じゃあ、その木はどうやって弘前まで運んだのでしょう?」

子ども達からは、「転がして運ぶ」「切って運ぶ」という意見があがりましたが、どちらも外れです。当時は人が歩くような道しかありませんし、短く切って運ぶより効率的な方法があるのです。
私が「岩木川」とヒントをあげると(単に口が滑っただけですが…)子ども達は感づいたようです。「岩木川で運ぶ」という答えが返って来ました。

ただ、岩木川で運ぶと言っても上流で流して下流で引き上げるだけではありません。
途中で引っかかったりするので、流した薪と一緒に川沿いを歩き、ひっかかった薪を外しながら歩いたようです。それに、木流しは水が多い時期、つまり春の雪解け水が豊富にある時期に行うので、とても冷たくつらい作業だったのでしょう。

このような昔話に子ども達が興味を持ってくれるか心配でしたが、
話し始めると最初騒がしかった子ども達も次第に真剣に聞いてくれるのが
分かってほっとしました。

昔は人と岩木川や白神山地が今よりもずっと密接に関わっていたのですね。
その事を子ども達に伝えることができてよかったです。

次回は西目屋村の雪山を歩こう!(後編)をお送りします。