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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

白神山地ブナ林モニタリング調査最終日

2009年11月13日
白神山地
今日は、すっきりとした青空のいい天気でした。
事務所から見える岩木山には、うっすら雪がかかっていました。
こんな晴れた日は、書類の山は置いておいて、外の山へ出かけたくなりますね・・・!

先週末、櫛石山で行っているブナ林モニタリング調査も今年の調査は最終日を迎えました。
この調査は、白神山地の世界遺産地域に3つの調査区を設定し、その中の木の高さや太さを毎年はかることで木がどのように変化しているのか、また森の中でどの木が倒れて次の世代が育っていくのかという変化を知るため、ボランティア・研究者・環境省で協力して行っています。
また、木を測ることだけでなく、森の中に「リタートラップ」と呼ばれる落ち葉や種などを集める網を設置し、毎月中身を回収し、葉や花や種子などがどのくらい落ちるのかを調べています。


森の中に設置している「リタートラップ」

「リター」とは、落葉や落枝のことです。
今回は、雪が降る前にリタートラップの撤収作業を行いました。
ずっと使い続けてきたこの網。
もう破れてしまって、そろそろ交換時期です。おつかれさま!


中に入っている落ち葉や枝、種子を回収します。

今回は、この「リター」について少しお話したいと思います。
月に1度リターを回収するのですが、その中身は様々です。
種子は、どんなものが入っているかというと、調査区で数や種類の違いはありますが、ブナ、ウダイカンバ、イタヤカエデ、ハウチワカエデ、コシアブラ、サワグルミ、ホオノキ、トチノキなどが入っていました。
この中でもブナの種子は、数年に一度大豊作があると言われています。
この調査ではどうかというと、2000年が圧倒的にブナの種子が多く落ち、そのほかの年は調査区によって変動はありますが、2000年ほどではありませんでした。この年は最も多い調査区だと1㎡あたり1000個を超える種子が落ちていました。その秋にはネズミが大発生し、春にはもやしのように多くのブナの芽が地面を覆っていたようです。
種子の数は、他の動物たちにも大きな影響を与えているようです。


2001年の春。ブナの芽が一斉に出ています。

そして現在、この調査が11年目。
わたしはこちらに来て3年目なので未だにその豊作ぶりを見たことがありません。そろそろ来るんじゃないかな~!と次の年を楽しみにしているところです。