東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ハヤブサの捕食

2009年10月08日
秋田
 現在、私が業務で使っているPCで写真データを取り込め無くなるなど不具合が生じてまして・・・こういう時PCって便利だけど、問題が生じるとかなり使えない!って思ってしまいます。


 なので、ちょっと前の観察から【ハヤブサ】の捕食シーンをお伝えします。 
 夏頃から大潟で【ハヤブサ】の観察機会が増えていました。ちょっと観察範囲を広げると1日で数回見かけるほどで、最近の私のフィールドノートには毎回記録されています。
 その【ハヤブサ】ですが、恐らく男鹿市内で繁殖している個体が大潟やその周辺を狩場として利用しているのだと思われます。

 ちょっと話は脇道に逸れますが・・・とある時期とある場所でミヤコドリが観察されました。秋田ではかなり稀な野鳥ですから、愛鳥家さん達はその生息場所へ大勢集まっていたそうですが、その時ある事件が・・・
 愛鳥家の一人がその時様子を『私たちが見てる目の前で【ハヤブサ】の若がミヤコドリを狩ったんだよ!腹の立つこと!!』と憤りを隠せない様子で話してくれました。

 その時はミヤコドリ自体の貴重さや秋田での観察機会の貴重さもお伺いしました。私も見に行きたかったのですが遂に見られずじまいでした・・・。しかし【ハヤブサ】もかなりの希少種です。種の保存法の「国内希少種」に指定されていますし、環境省版レッドデータリストでも絶滅危惧Ⅱ類に分類されていて、秋田県版レッドデータリストでも同じく絶滅危惧Ⅱ類となっています。


 大潟はそんな【ハヤブサ】の狩場となっていますが・・・この日、私は西部承水路近くのとある水辺で飛来したばかりのカモ達や渡り途中のシギ達の採餌の様子を観察していました。すると、急に観察していた鳥たちが慌てたように飛び立ちました。なんだ?と思って双眼鏡から目を離すと私の視界に「ちょっと大きめの野鳥」がもの凄いスピードでカモやシギの群れに向かって飛んでいきます。「あっ!」と思った次の瞬間・・・その中の1羽がちょっと大きな鳥に足蹴をくらい落下してしまいました。その後の写真が↓これです。



 ちょっと大きめの野鳥とは【ハヤブサ】。羽の特徴からして若鳥のようです。その【ハヤブサ】が落下した野鳥をその強靱そうな両足で掴み挙げ、水路脇の地面に下ろしました。運ぶときの様子も観察しましたが、自分とそれほど大きさの差が無く、丸みという点では自分よりも遙かにふくよかな鳥を力強く掴んで飛んでいました。



 捕らえられた野鳥は、上の写真の時点ではまだ生きていたようでしたが、遂にとどめを刺したようで・・・この後【ハヤブサ】の嘴周辺がみるみる紅く染まっていく様子には言葉が出ませんでした・・・。


 ちなみに犠牲になったのはコガモでした。はるばる渡ってきてこれからの冬を日本で過ごそうと思っていた矢先の出来事・・・これも自然の営みですから大人しく見守りましたが、あの日、愛鳥家の方が言っていた言葉が思い出されました。