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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

イワナの作戦

2009年08月26日
秋田
 今、森吉山麓はヤブ蚊が大発生していてハイカー達を悩ませています。勿論我々も困っているのですが、こればっかりはいかんともしがたいので・・・しかし徐々に沈静化してきていますので、あとしばらくの辛抱だと思います。
 じゃあヤブ蚊が大発生して喜んでいる生きものはいないのか?と考えて今日の日記のネタとしました。


 森吉山麓はハイカーのみならず渓流釣り愛好者にも人気の高いスポットです。春先などはハイカーよりも釣り師の方が多い日があるほどで、その型もなかなか良好なのだとか・・・

 しかし、人気の桃洞滝コースや赤水渓谷といったハイカーが多くはいる沢は『禁漁区』となっていてそこに棲む魚も自然観察の対象となっています。今日はその中からもっとも目にする機会の多い【イワナ】を取り上げます。



 渓谷沿いの道を歩いていると川底で遊ぶ魚たちの姿が目に付きます。きっと釣り師にとっては目の毒のような光景なのでしょうね~?

 そこで【イワナ】を観察していると面白いことに気付きます。普段は上の写真のように砂の上でのんびりしているように見えたり、人影に驚き倒木や枝の下にもの凄いスピードで泳いでいく姿を観察するのですが、時々このようなシーン↓を見ることが出来ます。



 川底が狭くなって流れが集まるところに身体の大きな【イワナ】が一点に居座っていることがあります。野鳥で言えばホバリングしているようなものでしょうが、その姿は堂々としています。

 さぁ【イワナ】は何をしているのでしょうか??

 実はこれ川を流れてくる餌を待ちかまえているのだそうです!水の中に棲む生きものだから餌になる物も水の中にいるものと思いきや・・実は彼らにとってのご馳走は水には棲んでいない生きものなのだとか・・・
 以前この日記でもチラッと「【イワナ】のお腹の中にエゾハルゼミがいた・・」という話を書きましたが、この一例のように通常陸上などで生活している昆虫などが息絶えて、それが川の中に落ちたら・・・それがご馳走なんだそうです(このような研究データもあり各書籍などで紹介されています)。

 つまり、2枚目の写真は、滅多に食べることの出来ないご馳走を体格の良い【イワナ】が待ちかまえているシーンなのです。この特等席を独占して堂々と過ごしている【イワナ】はどんな存在なんでしょうかね?