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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

アカゲラ子育て中

2009年06月17日
秋田
 今日の巡視は雨に当たってしまいました・・・。事務所に戻ってからカッパや登山靴など濡れた物を干しながら、これから梅雨が本格化すればこんな事が多くなるのかな?なんて憂いています・・。


 さて、気をとりなおして!
 森吉山野生鳥獣センターを基点に伸びるトレッキングコースの”とある”ところで【アカゲラ】が子育て中です。

 この【アカゲラ】の営巣木はコース脇にあるので、恐らく大勢の方々がお気づきになっていると思われます。なかには『こんな場所に巣を作るなんて、人を恐れないんですね?』とおっしゃる方もいます。しかしこれは大きな間違いです!!人がよく歩いているコース脇に営巣木があるからといって人間を警戒しないか?といえば答えは”ノー”です。

 【アカゲラ】の雛は人間の気配がしても巣の中で鳴き続けているので、近くを通るとどこからか、か弱い鳴き声が聞こえてきます。耳をそばだてるとおよその場所の見当を付けることが出来ますが、そんな事をしながら営巣木の周囲をウロウロしていると親鳥がしきりに鳴きながら、こちらを警戒しているのが解ります。近くに人間がいると親鳥は巣には近寄ってきません!おそらく巣の場所を特定させないためだと思われますが、その間、雛たちは餌をもらえず悲しげな鳴き声を上げ続けなければならなくなります・・・。
 そしてこういったことが度々起こると親鳥たちは育雛放棄してしまうことがあります。というか・・・実際に森吉山麓で育雛放棄をしたと思われる【アカゲラ】の巣があります。こちらもやはり登山道の脇にあって、しかも巣穴の位置も解りやすく、昨年も同じ木で繁殖していたので承知している方も多かった木です。今年もつい先日まで雛の鳴き声が聞こえていましたが・・・残念なことです。



 【アカゲラ】の親鳥は充分な距離をとって観察していれば、普段通り(本当は警戒しながらでしょうけど・・)に行動します。それと、いくら距離をとっても巣穴が直視できる位置にいるのは”NG”です。
 どうやらここの【アカゲラ】の雛はまだ小さいようで巣穴から顔を出すことはありませんでした。このように雛が小さいうちは尚のこと彼らと巣の中の雛に対して配慮が必要なようです!!

 この巣ではオスもメスも頻繁に餌を運んできます。今が育ち盛りなのでしょうか?距離をとっていればこのような餌を与えるシーンも観察できます。



 大きくなって雛が巣穴から顔を出して親鳥が餌を持ってくるのを待ちわびる姿は何とも言えず可愛いものですが、だからといってその姿見たさに長居をするのは禁物です。
 今は巣穴の中で親鳥が運んでくる雛たちが大きくなって、無事に巣立ち、自分の力で餌が採れるようになるまで温かく見守ってあげましょうよ!!