東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

尾脂腺の存在

2009年03月06日
秋田
 秋田では先ほどから雨が降り出しました。天気予報が良く当たります!観察会当日の天気予報は「曇り時々晴れ」なのでこの日も当たることを願います。


 我々人間は髪をセットする際に色々な整髪料を使って整えますが、野鳥も羽繕いするのに整羽料のようなものを使っているのだそうです。
 野鳥たちの整髪料ならぬ整羽料は自らの身体から分泌されるもので、脂肪酸・脂肪・蝋が含まれていてそれらが羽に撥水性を与えるのだそうです。
 その分泌物は『尾脂腺』(びしせん)と呼ばれる分泌腺から供給され、それは尾羽の付け根の背中側にあるのだそうです。この『尾脂腺』は特にカモやガンなどの水鳥で特に発達しているそうですが、身体の大きなハクチョウであれば羽繕いの時その存在を感じさせてくれる観察が出来るんじゃないか?と思い続けていて、ようやく先日、羽繕いしている【コハクチョウ】が私の方に尾が見やすいポジションにいたのでじっくり観察させて貰いました。
 上尾筒を挙げて尾羽の付け根にある『尾脂腺』の位置がハッキリと確認できる写真ですよ!!






 本などには「尾脂腺から分泌された物質を嘴や頭などに擦り付けて、それをつかって全身をケアする」と言うようなことが書いてありますが、まさにその通りの行動が観察できています↑。
 
 この後、嘴や頭をつかって器用に全身をケアしていきました。「全身ケア」なんて聞くと、繊細な手つきで行うようなイメージがありますが、【コハクチョウ】の場合、羽に分泌物を擦り付ける時などバサバサと大きな音を立てて行っていました。その様子は繊細なイメージとはかけ離れていたように感じます。
 また、羽繕いには「頭」もびっくりするほど器用に使っていました。【コハクチョウ】の首ってこんなに可動域が広いのか?とびっくりするほど・・・さながら妖怪の「ろくろ首」を彷彿させる動きでした。(←イメージが伝わるかな?)



 でも【コハクチョウ】の場合は妖怪のようなおどろおどろしい動きではなく何処かコミカルに感じます。時々気持ちよさそうに目をつぶりながら羽繕いしていました↑。一見偶然目をつぶったと時に撮影したようにも見えるでしょうが、普段はあれほど頻繁に瞬きはしていないはずです。なので分泌物を使って全身ケアをしながら頭と首を動かすストレッチ効果とマッサージ効果が加わってとっても気持ちいいのかな?なんて想像しながら観察していました。