東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

一時避難中のシメ

2009年02月23日
秋田
 このところ週末の度に周期的な悪天候がやってくる巡り合わせの悪さがストレスが募ります。とは言っても天気の話ですからどうしようもないですし、大人しく受け入れて行かなければなりません。
 そんな悪天候が続いた結果楽しい思いをする人っているのか?と思っていたら一部のバーダーは、悪天候を避けて港などに一時避難している鳥たちを観察するために出かけるのだとか・・・この週末は色々な成果もあったようです。



 今日の日記は「一時避難」つながりのお話し。先日の大潟巡視の際、久しぶりに保護区内でハイイロチュウヒの雌が飛翔している姿を観察した時の事です。いつものように鋭い眼光を光らせて、低空飛行していた姿をしばし双眼鏡で追っていると急にスピードを上げました。
 その眼光の先には数羽のオオジュリンがいます。明らかにその内の一羽に照準を定め襲いかかったのですが、狙われたオオジュリンは間一髪!辛うじてヨシ原の中に潜り込んで九死に一生を得たようでした。
 ヨシ原の中に飛び込むようにして降りてまで追いかけがら獲物を逃してしまったハイイロチュウヒはまた低空飛行で獲物探しを再開していました。


 そんな光景を観察していた私の横にある木に【シメ】の姿がありました。【シメ】もこの直前まで周囲を飛び回っていたのですが、ハイイロチュウヒの姿を見た途端、この枝に止まって動きを止めていました。【シメ】は息を潜めて、ハイイロチュウヒが遠ざかるのを待っていたようでした。
 普段であれば、私との距離がこれほど近くなることは稀なのですが、天敵の襲来によって飛び回るのを止め、私のモデルのなるのをに甘んじて受け入れてくれたようでした(笑)。



 ハイイロチュウヒの姿がずっと遠ざかった頃、【シメ】が辺りをキョロキョロ見渡し始めました。そして・・・



 おもむろに首をかしげながら『もう大丈夫かな?』って感じで辺りを再確認した直後、勢いよく飛び去っていきました。
 この時の私と【シメ】の関係は、私にとっては滅多にないくらいの至近距離でじっくりその姿を見せてくれた”モデル”さんですし、【シメ】にしてみれば捕食者たるハイイロチュウヒから身を守るために利用した”盾”のようなものだったのでしょうね??
 そんな【シメ】の首をかしげた姿にハイイロチュウヒに向けた「もう大丈夫かな?」という意志と、図らずも彼の身を守った私に向けた「もう行って良い?充分撮影できた?」という”サービス”のようなものを感じてたまらなく愛おしく感じました。