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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

タンチョウの水飲み

2008年12月17日
秋田
 このところの【タンチョウ】の1日のおよそのタイムスケジュールです。なお私もさすがに終日タンチョウを観察し続けた経験はありません。なので自分で見た情報と鳥獣保護区の管理員さんから聞いた情報を合わせて、書いていることをご承知下さい。
 
「12月中旬のある日」
 ほぼ日の出時刻(ここ数日は6時55分くらい)と時を同じくして塒から飛び立ち、決まって旧若美地区のとある場所へと向かう。最近は冷え込みが厳しくなりそこの土がカチカチに凍結していて、落ち穂も拾いづらいようです。
 通勤通学時刻になると近所の小中学生や会社などに向かう方々が立ち寄る。その後ご近所の方が散歩の途中に立ち寄ったり、鳥好きの方が入れ替わり立ち替わり【タンチョウ】観察に訪れる。その間、採餌したり、水を飲んだりする傍ら接近してくる方への警戒をしつつ、羽繕いにも精を出す。
 そして危険を感じたり(?)、居心地が悪くなったり(?)すると、飛び立って別の場所へ移動して同じように採餌したり、水を飲んだりして過ごす。
 お腹がイッパイになったり、疲れたときには足を折り曲げて”伏せ”状態で休息することも・・・
 終日採餌、水飲み、羽繕いなどをしながら人間相手のモデルも務め、日没後辺りが暗くなってから塒へと戻っていく。この時刻は日によってまちまちなようです。


 こうして書くと餌を食べている様子や、羽繕いをしているシーンはよく観察できるのですが、水を飲むシーンの観察機会は意外に少ない事に気付きます。
 これまで私が観察した水を飲む場面は、①タニシやアメリカザリガニを食べていた水路で食べ物を流し込むかのように時々水を飲んでいたシーン②稲刈り前の稲穂を食べたあとやはり流し込むように水を飲んだシーン③長い時間かけて羽繕いしたあとおもむろに広い水路に入って流れに向かって嘴を付けて水を飲んだシーンの3回でした。
 先日観察できた4回目の水飲みシーンは稲刈り作業の時に機械が旋回して出来たであろう轍に溜まった泥水を飲んでいるシーンでした。




 長い嘴の下部分(下嘴)が水平になるように足を曲げて、首を曲げて水中に入れて15~16cm位あるという嘴に水をためて、首を持ち上げて水を飲んでいました。


 アップで見ると喉を大きく膨らませて水を飲んでいるのが解ります。決して大きくない水溜まりの水を飲み干すくらいの勢いで4度5度とこの動作を繰り返していました。落ち穂が喉につっかえていたのでしょうかね?それともこの乾燥した時期だから喉が激しく渇いていたから?? 


 【タンチョウ】がいるエリアをよく見てみるとこの時期は田んぼに水を必要としないので、水が流れている水路はほとんどありません。なのでこの様な水溜まりの僅かな水も貴重な飲み水になっているようです。もしかすると今、もっとも【タンチョウ】が苦労しているのは『飲み水の確保』なのかも知れません。