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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

広大な土地にあって・・・

2008年12月05日
秋田
 今、大潟では至るところで野鳥の姿を見ることが出来ると昨日の日記でも書きました。大潟村は干拓によって生まれた大地で、海抜-2mの広大な土地が広がり、標高の高い場所がないにもかかわらずかなり遠くまで見渡すことが出来ます。その中で多くの野鳥たちに出会うことが出来るわけですが、その主役は何と言ってもガン達です!!

 昨日もかなりの数のガン・カモに出会いました。マガン・オオヒシクイ・ハクガン・シジュウカラガン・オオハクチョウ・コハクチョウ・マガモ・コガモ・ヒドリガモ・オナガガモ・カルガモ・カワアイサ・ミコアイサ・スズガモ・etc.・・・どんどん名前が挙がります。ですが、村中何処へ行っても色々な種に出会えるのか?と言うとそうではありません。
 特にガン達にその傾向が顕著なのですが、【マガン】の群れが採餌する田んぼはこの地区とこの地区、【オオヒシクイ】の群れが採餌するのはこの地区とこの地区、【ハクガン】が採餌するのはこの地区といった感じで広大な大潟村にあってもかなりピンポイントに見られる場所が決まっています。勿論その時、付近で作業されている方がいたりすると別の場所に移動する事はありますが、それでも「此処にいないならあそこかな?」と見当が付きます。
 私などは「この辺でいいや!」なんて大雑把に場所を決めがちですが、ガン達にはざっくりと大雑把に「この辺」というような場所決めはしていなそうで、「この田んぼ」ときっちり決めて行動しているようです。

 そのうちの1箇所である【オオヒシクイ】が採餌に集まる場所で観察した時のこと・・・警戒心の強い【オオヒシクイ】は遠くに停車した私の車をめざとく見つけ、警戒した視線を投げかけてきます。余り刺激しないように時間を掛けてスコープで観察できる距離まで近づき、観察を始めました。
 すると間もなく上空から【マガン】の鳴き声が聞こえてきました。遅れて【オオヒシクイ】の声も聞こえてきます。どこか別の採餌地から移動してきた群れが次々と私が観察しているポイント目指してやって来ているようでした。


【マガン】の群れ

【オオヒシクイ】の群れ

 飛来してきた【マガン】【オオヒシクイ】は数回上空を旋回したあと次々と田んぼに降りたってきます。


田んぼに次々と降り立つ【オオヒシクイ】

 それまで約300羽の【オオヒシクイ】の群れが彼らが加わりあっという間に約500羽の【オオヒシクイ】と【マガン】の群れになりました。飛来してくる方向を見ていると北東方向からこの場所を目指して一直線に飛んでくる感じでした。ちなみに、此処での観察のあとその方向にある採餌地を除いてみたら案の定作業中の方がいて、ガン達の姿は見当たりませんでした。

 この広大な大潟村にあって、彼らは『安全な採餌地』というポイントをかなり絞り込んだ上で何ヶ所か決めていて、その時条件の良い場所で採餌するという行動をしているようです。
 勿論その場所に餌となる落ち穂などが無限にあるわけではないので、そこに餌が無くなったら別の場所で採餌することになるのですが、その場所も決まっているようで、毎年同じ傾向が見られるようです。