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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

あとで食べようかな?

2008年12月03日
秋田
 私事で恐縮ですが・・・これまで仕事で野鳥観察をするときは、まず鳥を見つけること。その鳥の種類を識別すること。その羽数を数えること。それらを記録すること・・などに意識が集中してしまい「その鳥がどんな行動をしていたのか?」という事を観察できずに長い期間を過ごしてしまったような気がします。自分でも「余裕がないな・・」と感じることもしばしばでしたが、最近は野鳥たちの行動をじっくり観察する余裕もいくらかは持てるようになってきて、時には彼らの”心の内”を想像しながらの野鳥観察しています。

 ちょっと前に大潟へ行ったとき、保護区内の巡視・調査を終え、ほっと一息ついたとき隣接する田んぼに【ハシボソガラス】の大群がいました。彼らはガン達のように全員が寄り添って、同じような行動をするという事はなく、奔放に過ごしていました。
 その中の1羽が私の車の方へ飛び寄ってきました。いくら実質的な許容範囲が広い【ハシボソガラス】とはいえ自分の方から近寄って来るなんて・・・と一瞬思いましたが、直ぐに「あっこいつは敢えて近寄ってきたんだ!」とピンときました。



 嘴には飼料用のトウモロコシを咥えていました。きっとご馳走を発見して喜んだのでしょう!せっかく見つけたご馳走を仲間に見つからずに独り占めしようと考えたんでしょうね?それで、敢えて群れから離れて、仲間が警戒して近づかないであろう私の直ぐそばまでやって来たんではないでしょうか?

 暫く観察していると、嘴で一粒一粒食べて始めました。これ一本全部食べるにはそれなりの時間が必要です。その間に他の【ハシボソガラス】に見つかったらせっかくのご馳走を奪われかねませんからね・・・だから私を利用してトウモロコシを独り占めしようとしたんでしょうね!幼鳥ながらにして既にこんな知恵を身につけているとは末恐ろしいですね!

 また暫く観察を続けると、この【ハシボソガラス】は足下に落ちている落ち穂を見つけ、浮気心が出てしまったようです。ちょっと考え込んだように見えたあとこの幼鳥はこんな行動を始めました。↓



 トウモロコシを稲藁の下に隠したんです。嘴で稲藁の奥へ押し込むようにして・・・。嘴を抜いたあとは確認するような仕草をみせましたが、どうにも不安なのか?出来映えが気に入らないのか?次の行動に移りました!



 近くの稲藁をトウモロコシを隠した場所に追加しました。この作業を3回繰り返して納得したのか、そこから立ち去って近くで落ち穂を食べ始めました。 その後暫く同じように落ち穂を食べていたので、トウモロコシがどうなったのか確認は出来ていませんが、この幼鳥は『好きな食べ物をあとで食べる』タイプなのでしょうか?だとしたらなんとなくですが、解り合えそうな気がします(^^)!