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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

タンチョウと在地の野鳥

2008年12月01日
秋田
 大潟周辺にいる【タンチョウ】は益々人気が高まっているようです。時節柄、年賀状にタンチョウの写真を取り入れようと目論んでいる方々が撮影に訪れているのだとか・・・最近は周囲により多くの方々が集まるようになっています。
 そうなるといつにも増して『マナー』が重要になってきますよね?【タンチョウ】とのお付き合いが円滑に行えるような適度な距離感を保つのがその秘訣ではないでしょうか?【タンチョウ】を可愛がるあまり近くに寄りすぎると敬遠されてしまうのではないでしょうか?
 
 何故秋田の大潟村周辺に【タンチョウ】がいるのか?と疑問に思っていましたが、ある方から「若くて探求心旺盛なタンチョウが何処か新天地を求めて旅をしていて、たまたま秋田に降り立った。暫く過ごしてみると居心地が良かったのでそのまま留まって生活していて、現在に至っている」のだと言う話を聞きました。そして・・「秋田を気に入ればいつか仲間を連れてきて、将来的には秋田もタンチョウの生息地の一つになるかも知れないよね?」と続けて話してくださいました。
 夢のある話じゃありませんか?『もし本当にそうなったら・・・』と想像するとワクワクしてきますよね?

 我々に出来ることは、【タンチョウ】とイイ関係を保っていくことですよね?まずは自分がされて嫌なことをしない!その前提となるのが『適度な距離感』だと私は思っています。例えば至近距離でカメラのフラッシュを使って撮影するなんて確実にNGですよね?


 『距離感』といえば・・先日【タンチョウ】とお馴染みの野鳥たちとの”面白くも微妙な距離感”が観察できたのでお伝えしようと思います。

 ↓の写真には3羽の鳥が写っています。左から【タンチョウ】【ダイサギ】【アオサギ】です。
 【タンチョウ】は餌探しに夢中、【ダイサギ】はのんびりと休憩中、【アオサギ】は餌探しとそれぞれ別々に行動していました。
 観察を始めたとき、【アオサギ】と【タンチョウ】の間にはかなりの距離があったのですが、【タンチョウ】が移動しながら採餌して、どんどんサギたちのいる方へと近づいて行きました。



 【タンチョウ】はアオサギがいても全く気にしていないようで、黙々と採餌し続けていましたが、【アオサギ】はタンチョウが近づくと落ち着かない様子でジリジリと離れていきました。【アオサギ】が横移動してタンチョウとの距離をとっているのが写真でご覧いただけるかと思います。↑
 それでも【タンチョウ】は黙々と採餌を続け、益々【アオサギ】との距離が詰まっていきました。すると・・・



 【アオサギ】が飛んで逃げてしまいました。きっと【アオサギ】にとっての『適度な距離感』を保つことが出来なかったのでしょう・・・。
 この時、初めて【タンチョウ】が顔を上げましたが、その直後からまた同じように採餌を続けていました。



 一方の【アオサギ】はというと・・・飛んだのは僅かな距離。きっとこの場所が気に入っているので飛び去るのが惜しかったのでしょうね?横目で【タンチョウ】を見ていた姿からそんな心情を察することが出来ました。


 この【タンチョウ】はこれまでの観察から、物怖じしない勝ち気な性格であろうと思われ、廻りにどんな鳥がいてもマイペースで過ごしてます。その堂々とした態度で他の野鳥たちからも一目置かれる存在のようです!!