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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

1枚の羽から

2008年11月26日
秋田
 周囲から聞こえる「初滑りをした!」「雪山を歩いてきた!」「ハクガンがやってきた!」・・・etc.の声にうらやましさを爆発させています。
 そんな時節柄ではありますが・・・私の久々の日記は地味に事務所内で調べ物をした話題です。




 ↑の写真は8月上旬桃洞滝へのトレッキングを楽しまれた方から森吉山野生鳥獣センターに届けられた鳥の羽です。私は届けられた数日後に見たのですが、思わず「デカッ」と口にしてしまうほど大きな羽でした。
 コンベックスを添えてみると41cmありました。この羽はかなり反っていますので実際には43cmを越えていました。

 「鳥の羽」自体は珍しい物ではないかも知れません。しかしこの大きさ、明瞭なタカ斑、羽軸の反り等は、よく見るそれらとは違っていました。
 この羽を見ると形状から「初列風切の外側の羽」と解ります。色調&模様から「タカ科の鳥」の物であろうと想像できます。サイズから「トビよりも大きな鳥」であろうと思われます。
 これを踏まえて、羽の図鑑などを調べて、森吉山周辺に生息しているタカ科の鳥の中から(勿論生息記録のない鳥も調べましたが・・)【クマタカ】の初列風切であろうと思っています。

 【クマタカ】は観察する機会の少ない鳥で私も”生”では見たことがありません。しかし歩道を歩いていてこの羽を拾えたって事は私たちが歩いている場所は、そんな鳥の生息地であるという証拠!こうしているこの時間にも寒さの厳しくなってきた森吉山麓の何処かで懸命に生きているはず!

 1枚の羽から未だ見ぬクマタカの存在を確信し、いつか出会えるかも?と期待してしまう。思えば私が最初に鳥に興味を持ったのは登山道で拾った1枚の小さな青い羽からでした。『1枚の羽から広がる世界の広さ』みたいなものをしみじみと感じてしまいました。