東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

タンチョウの歩き

2008年11月11日
秋田
 今日の秋田は朝から快晴です。一日イイ天気が続くようです。

 しかし、先週の秋田県内は連日まとまった雨に見舞われました。その影響で大潟村やその周辺の水田は、まるで一面が『冬水田んぼ』のように水が溜まっていました。大潟村の農家の方が言うには「最近ではこんなに田んぼに水が入ったことはないんじゃないか?」との事でした。

 その状況は【タンチョウ】が過ごしている田んぼでも同じで、そこだけ見ると代掻きをする直前のように見えました。そんなぬかるみの中を一生懸命餌を探す【タンチョウ】の姿がありました。





 【タンチョウ】が歩いて移動する様子を観察していると、かなり理にかなった足の使い方をしていました。
 歩く時の足の動きを、その動作の種類から足を地面から持ち上げる(これを抜き足としましょう)動きと、足を地面に付く(これを差し足としましょう)動きに分けてみてみます。

 まずは抜き足の時(上の写真参照):ぬかるみの中に足が埋まってしまっています。その足を抜く時、我々であれば足首から下の部分に大きな抵抗がかかってしまうのを軽減するために踵だけを持ち上げて足を抜きやすくして前へと踏み出していきます。【タンチョウ】の場合も長い指のような内趾・中趾・外趾に抵抗がかかりそうなところを何かを摘むように趾を丸めて出来るだけ小さくして抵抗を軽減していました。
 今度は差し足の時(2枚目の写真参照):逆に足裏に大きな抵抗が得られれば足の沈み込みを押さえることが出来ます。【タンチョウ】は内趾・中趾・外趾をめいっぱい広げて足裏の抵抗を大きくしてぬかるみに足を入れていました。

 『なんだそんなの当たり前じゃん!』って言われそうですが我々の場合、体験を経て、あるいは先人に学んで、学習してその様なことが出来るようになったはず。では【タンチョウ】の場合はどうなんでしょうか?秋田にいる【タンチョウ】は1羽で過ごしています。ここに来るまでにその様な歩き方を学習してから秋田へ来たのでしょうか?それとも先天的に備わった能力なのでしょうか?




 一方、【タンチョウ】のトラックを見てみると↑のようにトレイルがキレイな一直線に並んでいました。いわゆる『モデル歩き』です。この足の運びにはメリットがあるのでしょうか?自分に置き換えてみるとぬかるみの中で1本のラインで歩くのはバランスが取りづらいように感じます。体重を分散させようと思ったら『モデル歩き』より『ナンバ歩き』の方が有利なようにも感じます。

 足の一つ一つの動作を見ていたらとても理にかなった動きをしていましたが、連続した動きになると合点がいかない。だからといって【タンチョウ】に聞いても教えてもらえませんしね・・・北海道の【タンチョウ】もこうやって歩いているのでしょうか?