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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ヒドリガモ エクリプス

2008年10月17日
秋田
 先日、この日記で【マガモ】オスのエクリプスについて書いたときに「その種によって識別ポイントが異なる」と書きました。そして【マガモ】は嘴がポイントでした。今日は【ヒドリガモ】についてそのポイントを書こうと思います。


 承水路の巡視中、パッと見ただけでは私には良くわからないカモを見かけました↓。先ずは消去法で、カルガモではない!マガモでもない!コガモも違う!とよく見る種類が消えた。



 身体の向きを変えたら、体側に白いラインが見えた。嘴は灰色で先端が黒い。脇腹を含めた身体全体が赤茶色っぽく見える・・・・【ヒドリガモ】かな?



 と、しっかり確認しようと思って凝視したら・・・飛んでしまった!うわぁヤバイ!と思ったら・・・翼上面の風切の一部に白い縦線が見えた!!(赤い矢印)



 この白いラインは、雨覆と次列風切の身体側の一部に見られるもので、この部分はエクリプスであっても変わらず見ることが出来る特徴です。
 しかし、この部分は翼を広げないと見えない特徴です。だからといって脅かして飛ばすのはよろしくないですよね!今回は物陰に隠れたにもかかわらず視線が刺さってしまってようで(?)飛び去ってしまった時にたまたま、見えたので確証を持ちましたが、水辺にいる状態でも識別できるようにならないといけませんね。

 なので【ヒドリガモ】オスの特徴をまとめてみますと・・・
①額から頭頂部がクリーム色の羽で、顔・頸・後頭部が赤みのある茶褐色。
②目の後ろ側に緑色光沢の見える個体もいる。
③制止時、体側部に白いラインが見える。(小雨覆・中雨覆の一部が見えている)
④背側の上面と脇が灰色で細かな黒い縦斑が密に入る。
⑤腹~下腹部の羽は白色
⑥胸は全体として茶褐色だが灰色の羽が混じる。
⑦翼を広げると次列風切と大雨覆の一部が白く、よく目立つ。
⑧中雨覆・小雨覆は白く。翼鏡は緑色。
⑨次列風切・三列風切は黒色で先端に白い羽縁がある。
⑩中央尾羽が黒色でよく目立ち、下尾筒も黒い。
⑪やや短かめの嘴は青灰色で先端の一部が黒色。
⑫脚は黒い。
ですが、このうち⑤⑦⑪⑫の特徴が冬羽でもエクリプスでも見られる共通の特徴です。
 さらに【ヒドリガモ】オスのエクリプスは全体的な印象が「赤みがかった茶褐色」に見えます。ですから最初の段階でよく見る種の消去法をするのではなくまず最初に【ヒドリガモ】かも?と見当を付けるのが近道でした。