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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

エクリプスと換羽中

2008年10月10日
秋田
 先月下旬から大潟村の水辺にカモたちが飛来し始め、日に日にその数を増やしつつあります。しかし、そこで問題になるのが”カモの識別”です。
 カモは一般にメスが地味な羽色で、オスはその種毎に特徴のある鮮やかな羽色をしています。が!この時期のオスは「エクリプス」というメスのような地味な羽色をしているものが殆どです。



 【マガモ】オスのエクリプス。一見すると羽の感じから「マガモのメス」と思ってしまいますが、よく見ると嘴が黄色っぽく見えています。エクリプスで羽が変わっても、変わらない場所があります。その場所は種によって異なりますがそのポイントをしっかり押さえて、そのポイントが観察できれば識別は出来ます。



 【マガモ】オスの換羽中の個体。ここまで変化していれば、直ぐに【マガモ】オスと識別できますね?この2枚の写真は同じ日に同じ水辺で撮影したものですが、これだけの差があります。カモ達は水辺を埋め尽くすくらい大きな群れで過ごしているのですが、その中から種別にカウントするのはなかなか難しい!この時期は特に難しい!!

【マガモ】オスの特徴をまとめてみると・・・
①頭部は緑色(光の具合や個体差で黒~濃紫にみえることも)。
②首に白い頸輪がある。
③胸が焦茶色。
④制止時に見える肩、背、腹、脇腹や翼の初列風切、中雨覆、小雨覆といった大部分の羽が灰白色。
⑤翼鏡は青紫色でそれを挟んで次列風切の先端と大雨覆の先端が白色。
⑥腰、上尾筒、下尾筒羽は黒色。
⑦尾羽が白く中央尾羽が黒い巻羽。
⑧嘴は黄色で先端の一部が黒色。
⑨足は赤橙色。

 ①~⑦は羽に関する特徴なので「エクリプス」の時期にはこれらの特徴は失われてしまいます。ですから上の写真では①~⑦の特徴は見られません。しかし⑧⑨の特徴は1年中見られる特徴で、上の写真でも⑧の特徴は確認出来ます。しかも嘴が黄色いカモは【マガモ】オス以外には居ませんから、識別の決め手になります。

 と、いったような事を頭の中でぐるぐると考えながらカモの識別をして、それぞれの種別にカウントしていくわけです。先ほど「難しい」と書いたこの時期のカモの識別ですが、こうして少しずつ解ってきて、識別出来るようになるのが楽しく感じつつあります。
 でも、また実際に野外で識別・カウントをやるとなると「??」って思う個体に出会ってしまうんだろうなぁ~(苦笑)