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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

森林の再生に向けて

2008年10月02日
秋田
 朝夕の寒暖の差が大きくなり、木々の葉が色づき始め、秋の深まりが実感できるようになってきた今日この頃ですが、この時期は植樹の適期でもあるんだそうです。
 考えてみれば、この時期の広葉樹は間もなく迎える紅葉→落葉に向けて自らの体内に冬を越すための養分を蓄えている時期。春や夏は成長期に当たるので、そんな時期に土から掘り返して新たな場所へ植樹するのは成長を阻害することになりそうです。この時期であれば”成長”から”命の継続”へとスイッチが切り替わっているでしょうから確かに植樹の適期と言えそうです。

 そこで現在、森吉山麓では広葉樹の植樹準備を進めています。そもそも何故、植樹をする必要があるのかというと・・・当地では昭和49年から63年にかけて放牧地を造成するために広大な森が伐採され草地へと姿を変えていきました。そして一時は放牧地となり多くの牛が放牧されていたそうですが、様々な要因でその規模を徐々に縮小し、現在は僅か数十頭が細々と放牧されているに過ぎません。そして残ったのは広大な草地と言うわけです。


 写真の建物は森吉山野生鳥獣センターです。その周辺に草地(荒れ地?)が広がっているのが分かるかと思います。

 当地では『森吉山麓高原自然再生協議会』を立ち上げ、秋田県を中心に広大な草地を森へ戻していこうという取り組みが行われています。我々もその協議会の一員として協力しているのですが、それとはまた別に自前で細々と広葉樹の森を広げる活動をしています。
 

 これが今年植樹する予定のブナやミズナラの広葉樹の一部です。これらは森吉山野生鳥獣センター近くの手作りの苗畑や秋田県の管理する青少年野外活動基地の近くの苗畑に種を植えて4年間育ててきたものです。

 生育の良い物は50cmを越える大きさに成長していますが、当地は県内有数の豪雪地帯ということもあり、苗木の生育には大差が付いています。今年の植樹にはまだ使えそうもない苗が大きく成長するようにビニールのポットから苗畑に直接植える床替えを行いました。


 森林再生は長い期間を掛けて行わなければならない根気のいる活動です。これらの苗木はその活動を支える大切な財産です。大きく成長してくれることを願わずにはいられません!

 実際の植樹はこれから行う予定です。その際にはまた、この日記でご報告しますね。

 そして植樹に興味をお持ちの方・・・10月19日開催予定の自然観察会はノロ川登山道を歩いたあと、森吉山麓高原でブナの植樹を行います。現在観察会&植樹体験の参加者を募集中です。お問い合わせ・申し込みは秋田自然保護官事務所TEL:018(867)8588・FAX:018(867)8589まで。