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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ヒツジグサ

2008年09月25日
秋田
 今日は事務所の窓を開けていると”寒い”と感じます。ついこの間まで窓から入る風も熱く感じていたはずですが・・・

 
 今日は南の池の花の話題を取り上げます。
 南の池で咲く花と言えば『蓮』です。以前この日記で『蓮にくる鳥』をご紹介した7月22日から約10日ほどで南の池の蓮は見頃となりました。その時期は”お花見”に来られる方がいたり、池の畔でカメラを構えている方も見かけたのですが、今はすっかり花も散ってしまい閑散としています。


 昨日の南の池の蓮です。花が綺麗なだけに散った後は余計に寂しく感じられます。

 しかし!!そんな来る人もいなくなった池の片隅で、ひっそりと花盛りを迎えている花があります↓。


 北海道~九州の池や沼でふつうに見ることのできる【ヒツジグサ】です。もちろん秋田でも普通に見ることが出来ます。しかし南の池の【ヒツジグサ】は池の端も端・・・その先には排水路となっている場所に僅か写真に写っているこれだけですが、可憐な白い花を咲かせています。
 大潟村はかつて琵琶湖に次ぐ日本で2番目に広い湖であった八郎潟を埋め立て、昭和32年から20年の歳月をかけて生まれた約17200haの人工の大地です。大潟村は昭和41年に最初の入植者を迎えていますから、すくなくともそれ以降に蓮にしろ【ヒツジグサ】にしろ多分、”人の手”で今ある場所に植栽されたのだと思われます。
 その後、私が想像するに・・・蓮は南の池の主役に抜擢され目立つところに植栽され、年々数を増やし現在に至り、かたや【ヒツジグサ】は何かのついで(?)に池の端の排水路の手前に植栽されたのではないでしょうか?しかもその排水路は昨年、工事が行われ【ヒツジグサ】は大きな危機を迎えましたが、それを乗り越えて現在に至っている・・・。


 現在の境遇に大きな格差が南の池の『蓮』と【ヒツジグサ】にはあります。この格差は今後も変わらないのでしょうか?
 蓮は確かに鑑賞にうってつけな綺麗な花でしょうが、原産地を調べてみるとインド周辺だそうです。それに対し【ヒツジグサ】は昔から日本各地で見られていて、環境省が2008年5月に作成した『日本の野生生物』という小冊子にも掲載されています。(『日本の野生生物』は環境省が所管する各地の施設で入手できます。)



 咲いている場所があまりにも目立たないし、解りにくいですが見ていただくと「この花も綺麗だね」と思っていただけると思います。それが格差の解消に繋がっていくかも?と、いうのは”白い花が好き”という個人的好みが根拠になっているかも知れませんが・・・