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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

【実施報告】自然観察会『太平湖から小又峡の甌穴を訪ねる』

2008年09月22日
秋田
 観察会の日、私の目覚ましは午前5時40分にセットされていましたが、それより早い時間に目が覚めてしまいました。子供の頃から遠足の日などには興奮していつもよりも早く起きてしまうことがよくあった私ですが、今日はそれが理由ではありません。
 窓の外では雷が鳴っています。それも徐々に音が大きく響いてきました。雨も激しく屋根を叩いています。こうなると正直、気が重くなります。しかし天気予報では「午後から天気が回復」と伝えていますし、参加者の方々へのご案内にも「雨天の場合は森吉山野生鳥獣センター周辺のブナ林の散策に変更して実施」と明記してありますしね!

 森吉が近づくにつれ、雨脚が弱まってきたように感じながら車を走らせ、順調に集合場所である太平湖グリーンハウスに到着。受付準備などをしながら「この天気だから当日の急なキャンセルも結構あるかもな・・」なんて考えていました。
 結局のところ2組の方が時間になっても来られなかったものの、31名の参加者にお集まりいただき観察会を実施いたしました。

 まずは、遊覧船で小又峡の遊歩道入口まで渡してもらいます。晴れていれば甲板に出て湖面を渡る風を受けて気持ちよいクルージングとなるはずでしたが、まだ小雨がぱらついていました。そのせいか、約30分の湖面クルーズもいつもより長く感じられました。
 


 船を下りて観察会はスタート!この頃にはだいぶ小降りとなっていましたが、足下が濡れているために慎重に歩いていきました。幸い(?)この時は我々以外のお客さんが少なく、観察も安全確保もしやすい状況で行うことが出来ました。結局、雨に降られたのは最初の1時間くらいだけでしたし・・・




 3つの班に分かれて、それぞれ講師が小又峡の地質・咲いている花・実を付けている樹木・生息している野鳥等の解説をするのですが、参加者の皆さんも熱心な方が多く、写真やメモをとったり、質問したり・・ちょっとマニアな解説かな?と思うような内容にも興味津々でした。
 


 何と言っても小又峡の最大の魅力は、約200万年(※これには諸説あり)前に森吉火山の噴火によって噴出した大規模火砕流が長い年月を掛けて浸食された独特の地形が観察できることです。
 火山の噴火によって短期間で噴出した同じような岩質で覆われ、のちの浸食によって刻まれた深い峡谷である小又峡は足下の岩も見上げた両側の岩壁も同じ一枚岩となっています。その底では今も水の浸食が繰り返され、様々な滝や淵などが見られるのですが、遊歩道の終点にある三階滝は参加者の女性に「これが見たかったのよ!」と言わせる魅力を秘めた小又峡の主役です!
 これまでほぼ平坦な道が続いていましたが、三階滝に逢うためには短い階段を上ります。階段の下では三階に分かれた滝の最上段の一部が見えていますが、階段を上るごとにその姿が大きく見えだし、階段を上り詰めた展望地では最上階から滝壺までを一望することが出来ます。それを見た参加者の男性は「良い姿の滝だね~」と言っていました。私も同感です!!

 もっともっと小又峡の魅力を書いて、まだ来たことのない方々にPRしたいところですが、今回は長くなってしまいましたし、この辺で・・・ 
  

 最後になりましたが、この観察会でご協力いただいた『太平湖グリーンハウス』の皆さんに感謝を申し上げます。