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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

【実施報告】野鳥観察会「大潟草原に集う渡り鳥」

2008年03月10日
秋田
 昨日3月9日(日)野鳥観察会を実施し、定員を上回る30名の方々にお集まりいただきました。この時期の大潟村は主に日本海側の各地で越冬していたヒシクイの群れと主に太平洋側で越冬していたマガンの群れが北の繁殖地へ帰る前の中継地となっていて、この日の朝、ねぐらでカウントした際には15万羽を超えるマガンの群れが集結していたそうです。その他にも様々な渡り鳥が飛来しているので、135ha(ヘクタール)の鳥獣保護区だけでなく大潟村の西側及び南側一帯を移動しながら野鳥観察を行いました。
 移動に際しては後援を頂きました大潟村教育委員会よりバス『かけはし』号を提供していただきました。目線の高いバスは野鳥を探すのに心強い存在でした。

大潟村のバス『かけはし』号で移動しながらの野鳥観察の様子。図鑑片手に講師のアドバイスも受けながらの観察です。

ねぐらにいた15万羽の【マガン】が各地に散らばって採餌している様子を観察しました。「よく見ると額の白いところが一羽ずつ違うんだね?」と言う鋭い感想も聞かれました。


この日のメインと言っても過言ではない(?)ベニヒワを観察しています。「めんこい鳥だね~」と皆さんから笑顔が溢れていました。

 この日の野鳥観察にそなえて講師の方々は前日にそれぞれ下見をして下さり、当日も朝早くから大潟村に来て鳥の居場所を確認してコースを決めて下さいました。その甲斐あって行く先々で野鳥観察が出来ます。バスでの移動中も「右側でヒシクイの群れが餌を食べています。」とか「左側の林の下を飛び回っているのはムクドリです。」等と双眼鏡が離せませんでした。

 思いがけない出会いもありました・・・このところ姿が見えなくなっていたコクマルガラスでしたが、前日の下見で講師の方が見つけてくれていました。私は「ちょっと前まで居たのに・・・」と残念に思っていたのでした・・と、言うのも参加者の中に大潟村に住む『カラス大好き少年』がいまして、その少年はご両親に双眼鏡を買って貰ってこの日の観察会を楽しみにしていると聞いていたので、ぜひコクマルガラスを見て貰いたい。と思っていたからです。
 マガンを観察しようと回ったエリアに【ミヤマガラス】の群れを見つけたので、その講師の方が「よし!降りて観察しよう!!」とバスを降りました。私はその少年に「いよいよカラスの観察だよ」と言うと隣に乗っていた少年のお父さんが「○○君、出番だよ!」と声を掛けて足早にバスを降りていきました。一番見やすそうな場所に立てたスコープのそばで待っていた少年は一番に覗かせて貰ってじっくり観察していました。嬉しそうに戻ってきた少年は「ミヤマ見た!!」と満面の笑顔でした。ちょっとして講師の方が「コクマルもいる!」と言うので「○○君コクマルも居るって!」と言うと「うん!コクマルも見た」と・・流石です!!誰よりも先に見つけて既にじっくり観察していたようです。この少年が【コクマルガラス】を引き寄せたのだと思えてなりません!
 
数日前に撮影した【ミヤマガラス】の群れに混じる【コクマルガラス】 久しぶりに見てもカラスとは思えない可愛さでした。

 この日もNHKの取材班が観察会に同行しました。参加者の方々と一緒になって野鳥観察をしながら取材をしていただき、地元ニュースでその模様が放映されました。

インタビューを受ける参加者。「初めて見る」という野鳥をたくさん観察できたからでしょうか?皆さん笑顔で話している姿が印象的でした。

 「いつもだったら見られるはずなのに・・」「昨日の午後までは居たのに・・」というケースも若干ありましたが、この時期の渡り鳥に至る所で出会えた観察会でした。この日出会った鳥はカワウ・アオサギ・ダイサギ・コチョウゲンボウ・トビ・ノスリ・ケアシノスリ・ヒシクイ・マガン・オオハクチョウ・ヒドリガモ・コガモ・マガモ・カルガモ・オナガガモ・ホオジロガモ・ミコアイサ・カワアイサ・オオバン・カモメ・ユリカモメ・ムクドリ・ツグミ・ホオジロ・カワラヒワ・ベニヒワ・スズメ・ハクセキレイ・ハシボソガラス・ミヤマガラス・コクマルガラスの31種類でした。
 末筆になりましたが、この観察会のために多大なご協力を頂きました日本野鳥の会秋田県支部所属の講師のお二方。本当にありがとうございました。