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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

雪山の危険因子 『ホワイトアウト』

2008年01月23日
秋田
 本当に残念なことですが雪山登山での遭難事故を告げるニュースが続いています。またニュースにならないまでも一つ間違えば遭難への連鎖が引き起こされかねない出来事は膨大な数の事例があるのではないかと思います。

 反面、雪山には大きな魅力があります。その魅力に触れ、安全な登山を行うためには、雪山のリスクを知っておく必要があります。雪山登山にはどんな危険因子があるのか?それはどうやって回避するのか?等々自分(達)の身を守るために知っておかなければならない事柄があります。
 それを勉強する為には多くの書籍や文部科学省登山研修所等の専門機関や専門家のHPなど様々な複数の教材で各自で行わなければなりません。

 今日は雪山の危険因子として『ホワイトアウト』を取り上げました。この所、北東北の山でホワイトアウトとなる日が多いようです。私自身も直近の2回の雪山登山では2度ともホワイトアウトでした。
 ホワイトアウトとは視界が白一色になる気象現象の事を言い、吹雪などで雪が舞い上がって起きるもの、大量の雪が降って視界が遮られるもの、太陽の光・雲などによって全方向の雪が反射して起きるもの等原因も一つではありません。
 ホワイトアウトになると足下の雪面と空間の境目を識別できなくなり、行動を阻害する要因になります。実際にホワイトアウトに直面すると方向感覚・平衡感覚が平常でなくなり、乗り物酔いにも似た気持ち悪さを感じることもあります。

手前の木々や登山者はしっかり見えていますが、奥に見えるはずの山頂がみえません。山頂部はホワイトアウトになっています。

ルート旗が辛うじて見えていると思いますが、地面(雪面)と空間の境目がハッキリとしません。ルート旗までの距離は約5mです。

中央にぼんやりと見えているのは避難小屋です。ほんの一瞬だけ得られた視界です。小屋までの距離は40mほどです。

 ホワイトアウトはいつ起こっても不思議のない気象現象です。つまりホワイトアウトは常に想定しなければならないと言うことです。2枚目3枚目の写真は失敗写真のように見えます。経験した人なら分かると思いますが実際はこれでもまだマシな方なんです。
 折しも大寒波が押し寄せてきています。ホワイトアウトになれば行動不能になってしまうことだってあります。天候が崩れるようなら山には入らない、視界が悪くなってきたら引き返す。この判断が出来るというのも登山者にとって重要なことだと思います。