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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

バードトラック(ヒシクイ)

2008年01月17日
秋田
 今週は寒波が居座っているらしく寒い日が続いています。事務所の窓からは時折激しく降る雪で、いつもハッキリ見える秋田市役所がよく見えません・・。

 それでも昨日は寒波も一休み。大潟草原では僅かに晴れ間も見えました。風もなく穏やかではありましたが外でフィールドスコープを構えているとたちまち冷え切ってしまいます。ニット帽も手袋も慰め程度に感じられます。
 この寒波は大潟村の田んぼを雪で覆い尽くしました。こうなるとガンカモ達は食糧問題に直面します。これまで田んぼ一面に広がって落ち穂を啄んでいましたが、昨日は風当たりが強くて地面が見えている僅かなスペースにひしめき合いながら採餌する姿を多く見かけました。また農道にもたくさんのヒシクイがいました。普段はこんな事ないのになぁ~と思ってスコープを覗くと口元に緑色の草のような物が見えます。畦に生えていた草を食べているようです。

一面に広がるヒシクイの足跡。

三本の長い指の間にある水かきと後ろ側に付く短い指の痕もハッキリ分かります。扇の要の位置よりも右足は左寄り、左足は逆の右寄り、つまり内側についているようです。

大きさを比較してみました。黒い丸い物はカメラのレンズキャップ(52mm)です。この足跡は標準的な大きさの足跡を選んだつもりですが・・(やや小さかったかな?)

 これまでヒシクイは落ち穂など植物の実を食べていましたが積雪からの食糧難の今、風当たりが強くて積雪の少ない場所の草を食べています。きっと栄養も満腹感も大きく違うのでしょうが見渡してもこれを食べるしかないようです。さらにその様な場所も限られています。それで普段は近づかない農道で採餌をしているのです。この時は地元の農家の方が来て一斉に飛び立ちましたが暫くするとまた舞い戻って同じ場所で餌を採っていました。

この日ヒシクイが食べていた草は【シロツメクサ】でした。三つ葉のクローバーと言った方が分かりやすいですね。ヨーロッパ原産の帰化植物で牧草として栽培した物が野生化して分布域が拡大したそうです。

 大潟村のある秋田県沿岸地方の週間予報では期間中雪マークが並び土曜日までは真冬日予報です。しばらくヒシクイ達の食糧難が続きそうですが逞しく乗り切ってほしいと願っています。