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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

冬の終わりの始まり

2007年03月06日
十和田
 こんにちは、十和田のアクティブ・レンジャー村田野人です。
 3月に入り、寒暖の差が一段と激しくなった気がします。桃の節句には小鳥たちが春本番のようにさえずっていましたが、ここ一週間ぐらい事務所の机の上で育てていたミズナラは夜の寒さのためか根を伸ばすのを止めてしまいました。たぶん死んでしまったのでしょう。毎日家に持ち帰るべきでした。
 今日は、こんなに寒暖の差が激しくなる前に十和田湖を訪れた、冬の終わりの始まりの話です。どんな物に季節の移り変わりを感じるかは人それぞれと思います。2月9日に、私にとって冬の終わりの始まりを感じさせる鳥、「キレンジャク」をようやく見ることができました。


キレンジャクは、全長19.5?、スズメより二回りほど大きく、シベリアやアラスカなどで夏を過ごし、越冬のために日本を訪れる冬鳥です。私の中では、キレンジャクは、1月の後半から2月ぐらいに30羽から60羽くらいの大きな群れで街に現れては、街路樹に残っている果実を食べ尽くしつつ、移動していくイメージがあります。休屋に現れたのはたったの2羽で北駐車場に点々と植えてあるナナカマドの萎びた果実を食べていました。


 レンジャクの仲間の話になると必ず話題に上るのが、ヤドリギとレンジャクの共生の話です。簡単に言いますとレンジャクはヤドリギの果肉を冬の貴重な食物として利用し、ヤドリギはレンジャクにふんと一緒に種を運んでもらって新しい場所で子孫を残している、のだそうです。実際、ヤドリギの果肉は非常に粘るのでヤドリギを食べたレンジャクのふんが枝に絡まってブラブラしているのをたまに見ます。


今回は、キレンジャクがヤドリギの実入りのふんをするシーンを見ることができました。一羽のキレンジャクがナナカマドの実を食べるのを止めたかと思うと、細長いフンをし始めました。自分の体の1.5倍ほどの長さのフンをする間レンジャクはじーっと動きません。ふんをしている間は飛ぶことができないと知人から聞いたことがあります。シャッターチャンスではありましたが、あんまり注視するのも居心地が悪いだろうと思って、フンをしている間に近寄って写真を撮るのはやめました。