東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ウンがつきますように

2025年01月21日
アクティブ・レンジャー東北地区 戸澤 綾子
みなさま、ご無沙汰しておりました、十和田八幡平国立公園 鹿角管理官事務所の戸澤です。

年明け初めての投稿ですので、何か縁起が良いことを、と悩み、私の数あるコレクションの中から、2024年に八幡平で見つけたウンのつきそうなものをご紹介します。
ウンつく
2024年6月28日大沼(後生掛)キャンプ場近くの水路脇
               ツキノワグマのものと思われます。
               近づいても匂いはせず。
               タケノコと思われる物体が混じっているのが見えました。
               手前の棒の長さは26cm。
 
ウンつく
同じ日に、こちらは大沼自然探勝路で発見
               少し時間が経っていたようで、乾燥して匂いもありませんでした。
ウンつく
8月20にも大沼自然探勝路で、なぜか3種異なる形状のものが寄り添うように
             左のものはウンのつくものではないかもしれません。
             中央のものは種のようなものが混じっていました。
             何かの実を食べたのかな。
             大きさからするとテンやアナグマが主でしょうか。
             少なくともそれぞれ別の主が落としていったものと思うのですが。真実やいかに。
ウンつく
こちらは5月10日 かなり小さなウンのつくもの
               小さな種のようなものや毛が含まれています。
               これらの主はネズミの類いでしょうか。

このように見てみると、八幡平界隈では「わざわざ歩道上で脱糞する」が生きもの界でのマナーとなっているのか、フシギと背景が同じですね。どんな生きものが、何を食べてここを通ったのか、想像するのは楽しいものです。

今回これらのコレクションを披露しようと思ったきっかけがあります。
年末年始の休暇中、「ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら-ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記」(ツキノワグマ研究者・東京農工大学大学院教授 小池伸介著 辰巳出版 2023年)を読んだからでした。
クマのウンコが種子散布に役立っているのではないか、というテーマに基づき、フィールドワークを行っていく様子をおもしろおかしく、かつ真剣にまとめているのです。
気になるエピソードやデータはあまりに多く、ここに挙げることは控えますが、帯に「集めたウンコ3000個!」と書いてあることにまず目を引かれました。そして読み始めると、最初の方で「・・・ウンコがまったく拾えない。どうすれば見つけられるのか。」と著者が悩んでいるのです。
そこで私は「これまでにいくつかのクマのウンコに出会ってきたぞ。そんなに貴重なものにお目にかかってきたのか。」と驚き、喜びました。
また最後の方には、クマが生きる森のすごさ、里山の衰退から町に出てくるようになったクマの現状に触れており、毎日(秋田の)ニュースを賑わしているクマの姿をよく著しているのです。

八幡平はクマが生きる自然豊かで貴重な場所なのだ、という感動をこのページを見てくださる方にもお分けしたいと思い、今回の投稿に至りました。

今年もたくさんのウンのつくものに出会えるよう、上ばかりでなく下を見ながら歩き、自然の様子をよく観察し、みなさんにもそのウンを分けていきたいと思います。
みなさんも八幡平で生きものの営みを感じてください。