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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

月山・開山祭からの1カ月

2025年08月05日
羽黒 守屋明子
7月1日、月山山頂で行われた月山開山祭に参加しました。

数日前の天気予報では晴れだったにも関わらず、残念ながら天気は曇り。さらに朝から霧と風に見舞われた山頂付近でしたが、開始時間が近づくにつれて、1人、2人とモヤの中から人影が現れ、会場の月山神社本宮に吸い込まれていきました。

奥宮は撮影禁止のため祭事中の写真はありませんが、白装束の方、関係自治体、官庁、山岳関係者等で、境内は白い霧よりも濃い熱気であふれていたことをご報告します。
月山
神社入口に人が集まっている気配
月山
神社入口から西側を望む。近くの小屋しか見えません
私たちは登山道の巡視を兼ねて前日から入山。山中では初夏の月山の特長的な風景が見られました。
月山
弥陀ヶ原東側の池塘
月山
ワタが揺らめくワタスゲの群生
月山
登山道脇にちらほら開花(大峰直下)
月山
雪解け後まもなく現れるコイワカガミとチングルマ
月山
風が強い場所にけなげに咲くミヤマウスユキソウ
月山
月山を代表する花・クロユリは咲き納めの頃
かつては出羽三山の登拝道が羽黒山を経て月山山頂まで続き、茶店や山小屋など行者を迎える伝統が今に残る月山。東北地方では珍しく、宿泊客に食事や寝具を提供する山小屋が2軒営業しています。どちらも開山に合わせて今年の営業を開始しています(営業終了予定は9月中旬~下旬)。
月山
羽黒方面の9合目・佛生池小屋
月山
山頂直下の月山頂上小屋
開山祭前に巡視に向かった鍛冶月光では、猛烈な風の洗礼を受けました。月山は初心者向けの山と言われますが、天候次第でレベルがまったく変わります。
月山
月山の頂稜付近は遮るものが少なく、悪天時は風に対応する技術を要します (鍛冶月光上部)
時には厳しい顔を見せる月山の環境ですが、生き物たちは力強く生きています。
月山
山頂付近の杭にはエゾハルゼミ
月山
チシマザサの根元に潜むカエル
そして7月下旬。月山周辺では、開山以降の1か月、ほとんど雨が降りませんでした。
月山山頂の神社や山小屋には人が常駐しており、例年は雨水や雪解け水等で生活や営業に必要な水を確保していますが、7月2週目以降は水不足に陥り、毎日山頂から離れた雪渓の下まで水を汲みにいかざるを得ない状況に陥っていました。
(7月末から水不足対策が施されました)
 
7月最終週には、弥陀ヶ原湿原でも、池塘の水位減少や乾燥化が発生していました。
月山
一見水をたたえている池塘も、池の端の土肌が見えるほど水位が低下(7月26位日撮影)
月山
底が干上がってしまった池塘(7月26日)
山形県内では、山だけでなく、里にも雨が降らず、水不足が顕在化しています。
月山以外の山でも、水場の水が枯れる可能性がありますので、最新の現地情報を入手し、持参する飲料水には余裕をもって入山ください。