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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

g標識偏執狂対策

2025年01月27日
宮古 池田 理恵
こんにちは。
1月上旬、みちのく潮風トレイルの維持管理を担当している職員Mと標識の確認に行ってきました。
皆さんはみちのく潮風トレイルを歩いたことはあるでしょうか?
トレイルを歩いていると、こんな標識を多く見かけるはずです。
自然歩道脇に設置された木製の標識
 
トレイル上には13種類の標識があり、業務上区別するために名前が付いています。
これはg標識で、主に分かれ道などに設置されています。
さてこのg標識ですが、何者かによって傷つけられ無残な姿で発見されることが何度もあります。
特に宮古市では田老地区の山道で襲われることが多く、ボロボロになる度に新しいものと交換してきました。
職員M曰く交換してもすぐに壊されるのだそうです。
破壊されたg標識
△事務所保管の被害者、計6本ありました
誰が何のためにこんなことをするのでしょうか?
よく観察すると犯人の証拠が残っていました。
標識のささくれた部分に付いている毛
 
この黒い縮れた毛はハイカーの体毛でしょうか?・・・・・・いいえツキノワグマの体毛ですね。
クマはシンナーやペンキなどの揮発性の匂いを好むと言われています。
おそらくg標識は防腐剤処理がされているはずなので、クマにとっては魅力的な匂いを発しているのかもしれません。
私もシンナー系の匂いは好きなので、事務所にある在庫の匂いを嗅いでみましたが残念ながらよく分かりませんでした。

そんな話をしながら標識の確認と交換をしたのが1年前の秋。
その時に作業をしながら、試しに1本だけ工夫をしてみようということになりました。
職員Mは私にその作業を任せ、別の標識を確認しに行ってしまいました。
頑張った結果、g標識はこんな風になりました。
釘を打ったg標識
 
写真では少し分かりにくいかもしれませんが、正面以外の面に釘を打ち込みました。 
少し奇妙な見た目になりましたが、確実に防御力は増したはずです。
断じて釘バットから着想を得たわけではありません。
単純に囓られないようにすることを重視した結果、釘を打つという方法を採用しました。
匂いに引き寄せられたクマが角を囓ろうとすると口の中に釘が当たり、ウガッ!オエェェェ!?となる想定です。
唖然とするクマの表情を想像して思わずにやけました。
標識に釘を打つことに抵抗はありましたが、破壊されるのを黙って見過ごすわけにはいきません。
戻ってきた職員Mに試作品を見てもらうと、こんなに打つとは思わなかった、と無表情で冷めたリアクションでした。

そして今回、1年越しに状況を確認してきました。
なんと釘を打ったg標識は耐えてくれていました!
 
1年後のg標識
 
正面の両角が削れ、曲がっている釘もありますがなんとか標識としての姿は保っています。
角の部分をよく見てみると、やはり犯人の痕跡がついていました。
毛が数本ついた角
 
黒い細い毛が付いているのが分かるでしょうか?
角に打った釘は地面に落ちていました。そんなにg標識が魅力的で手を出さずにはいられないのでしょうか。
人間には理解できませんが、とにかくしつこいし迷惑です。
職員Mは釘だと不気味だということでビスをねじ込むことにしました。
釘とビスを打ち込まれたg標識
 
他の標識も確認すると、2k程先のg標識が壊されていました。
同じ個体の仕業か、それとも同じ趣味を持つクマが複数いるのか・・・・・・。
新しいものに交換し、こちらもビスを装備させ効果を検証したいと思います。
新しいビス付きg標識
 

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