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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

春はあけぼの

2022年04月28日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、 

紫だちたる雲の、細くたなびきたる。(清少納言 枕草子より)

※現代語訳:春はほのぼのと明けようとする頃が良い。

日が昇るにつれだんだんと白んでいく山際の辺りがいくらか明るくなって、紫がかっている雲が横に長く引いている姿が良い。

古典の暗唱が宿題だった、子供の頃の記憶が鮮明に浮かび上がってきました。

4月26日の朝の十和田湖畔です。

雲海に浮かぶ中山半島と御倉半島が龍のように横たわっています。

十和田湖の雲海は夏の早朝に多く見られます。

標高の高い発荷峠など外輪山から眺めると、十和田湖がすっぽり雲におおわれて、湖畔に下りると、周辺は見通しがきかないという現象です。

これからの時期、通勤路でこの風景を見られるのは、とても幸せなことです。

湖畔のヤマザクラが咲き始めました。

ドロヤナギの新緑とともに、日に日に色濃くなっていきます。

ドロヤナギに守られるように立っているカスミザクラの開花はもう少し先です。

※昨年の開花の様子

湖畔でひときわ目立つオオヤマザクラはまだ蕾ですが、雪の重みの影響か枝が折れていました。

連休明けには、葉桜になっていると思いますので、3年前の開花の様子を探してみました。

ソメイヨシノ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、ヤマザクラ、シダレザクラ、様々なサクラが湖畔の春を彩ります。

人間が交配で作り出したソメイヨシノの寿命は約60年~80年、悲喜諸々を受け入れて咲く様子は、心を揺さぶられます。

ヤマザクラは、寿命200300年、500年以上の樹齢のものもあり、存在感もさることながら、力強さがあり、元気をもらいます。

(エドヒガンザクラの寿命は500年以上、中には1000年~2000年の桜もあるようです。)

日本最古最大級の長寿桜は、山梨県北杜市実相寺の『山高神代桜』で、推定樹齢1800~2000年と伝わり、樹高10,3m、幹周り13,3m、日本三大桜の一つに挙げられています。

南アルプスの山々の懐にある桜の、咲いている姿を一度見てみたいものです。

また、ウワミズザクラ、シウリザクラなど、花の形態が少し違う桜もあります。

そちらの開花はまだまだ先なので、後日またお知らせします。

また、いまの蔦沼の様子をお伝えします。

蔦沼:残雪の山々に新緑とヤマザクラが映えます。

歩道はまだ残雪がありますので、十分な装備でお越し下さるようお願いいたします。

ブナの根開き

菅沼:ミズバショウが満開です。

長沼:エンゴサクが風に揺れています。

連休中に十和田湖周辺へ来られる方へ、お知らせです。

暖かくなったとはいえ、朝晩はまだまだ暖房が必要な日もあります。

また、湖畔は風が強く体感温度が更に低くなりますので、散策を予定される方は、暖かい服装をご準備ください。

山岳周辺は天候がまだまだ不安定で、通行規制がある場合もあります。

十分な情報収集のうえお越しくださるようお願いいたします。

あおもり道情報:http://www.koutsu-aomori.com/cgi-bin/index.cgi

事務所の周りでは、クロモジが開花です。

通勤路で出会ったアナグマです。

長い冬を耐えた、動物達も活発に活動を始めています。

国立公園周辺道路の運転の際には、野生動物等にも十分気をつけましょう。