アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
厳冬期の八甲田
2022年02月14日2月10日、北八甲田赤倉岳の巡視へ行ってきました。
厳冬期の八甲田といえば、1902年(明治35年)の日本陸軍第8師団歩兵第5連隊の、近代登山史上における世界最大級の山岳遭難事故を思い浮かべます。
小説の題材となり、映画化もされ、概要をご存じの方も多いことでしょう。
実際に曾祖父さんが亡くなられている友人から、残された貴重な写真を見せていただいた事があります。
岩手県西和賀町に、その方の大きな慰霊碑が建立されています。
そんな厳しい八甲田も、この日は気温マイナス8度、風もほとんど無く穏やかな一日でした。
ロープウエーに乗って山頂駅に着くと、真っ白な岩木山の頂きが雲の上にぽっかり浮かんでいました。
平日にも関わらず、多くのスキー客が訪れていました。
周辺を散策する人、スキーやスノーボードの人、それぞれ出発です。
三脚を持参して写真撮影に専念する方でしょうか。
田茂萢(たもやち)方面に向かうツアー
今から向かう赤倉岳がくっきり見渡せます。
前嶽の向こうに青森市と陸奥湾が輝いています。
標高を上げると、スノーモンスターが迫って来るようです。
風上に向かって成長する樹氷の特性が良くわかりますね。風下は空洞になっています。
大きく傾いていて、過酷な気象条件が想像できます。
雪と太陽と雲が織りなす風景。
どんどん標高を上げていきます。
写真の真ん中あたりが森林限界(およそ1500m)です。
赤倉岳山頂直下。
この中に標識が隠れています。
井戸岳に雲がかかってきました。
毛無岱方面をのぞむ。
山肌を雲が流れていきます。
じっとしていると冷えてしまうので、下山です。
樹氷の間は、アオモリトドマツの根元に近寄らないようにしながら、好きな場所を安全確認しながら歩きましょう。
太陽の周りに、日暈(にちうん又はハロ)ができていました。
厳冬期の八甲田は、こんな優しい姿で迎えてくれることはとても希です。風が強く、ロープウエーが運休の日も多くあります。気温もマイナス20度まで下がることもあり、さらに風があれば体感温度はぐっと下がります。
また、ロープウエーの待ち時間には、じっとしていると身体が冷えてしまいます。
冬山装備をしっかりとしておこしくださるようお願いします。
今しか出会えない風景がきっと待っていることでしょう。