アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
蔦沼の紅葉
2021年12月06日死ぬまでに一度は見たい絶景の一つと唱われた、蔦沼の紅葉シーズンが終わりました。
雪景色になった十和田湖、八甲田、奥入瀬渓流は長い静寂の時に入ります。
昨年から、紅葉時期の蔦沼周辺の渋滞対策の一環として、早朝時間の予約制、駐車場料金の徴収等、新たな取り組みが始まりました。
蔦沼の紅葉として良く紹介されているのは、真っ赤に色づいた森が鏡のように穏やかな湖面に映っている様子ですが、行けば必ず見られるわけではありません。
2017年10月28日 初めてみた蔦沼の紅葉
蔦沼の周囲の森はブナやミズナラなど、真っ赤に色づく樹種はそれほど多くありません。
東の空から太陽が上がる瞬間、太陽に照らされた森が、風の無い穏やかな水面に映し出されるほんの数分の間だけ、このように赤く見えます。
メディアで取り上げられるようになってからというもの、全国からその様子を映像に残したい人、一目その光景に出会いたい人々などが、深夜から早朝にかけて蔦温泉の駐車場に詰めかけるようになりました。満車になると周辺に路上駐車するのが日常化し、周辺の交通の妨げになり問題となっていました。
また、朝日の昇る時間に押しかけた大勢の人々は、沼に設置されたデッキに入りきらず、その光景を一目見るために湿原に踏み込んでしまい、一部に植生の踏み荒らしが確認されました。
2019年は早朝の時間の通行規制を行い、シャトルバスを運行しましたが、デッキの入場規制は実施していませんでした。コロナウイルスが蔓延したこともあり、入場制限に踏み切ることになったのが、2020年のことです。
2021/10/29 業務の様子
昨年度と今年度の業務に携わってみて思うことは、入場制限することで、来場者の満足度は非常に高くなったのではということです。
また、周辺の渋滞もほとんど無いようでした。若干、湿原に踏み込んだ跡は見受けられましたが、入場制限する以前に比べれば格段に減ったように思います。
入場制限や、駐車場料金徴収について、賛否両論あるかと思いますが、私が現場で実際に見た来場者の方々はとても満足そうに見えました。
2021/10/29
あまりにも有名になってしまった蔦沼ですが、蔦七沼と言い、あと六つの沼も忘れてはいけません。(赤沼は少し離れていますが)
せっかく蔦沼までお出かけの際には、是非沼巡りコースを歩いていただきたいと思います。紅葉の時期は、黄金のブナ林と小鳥の囀りが訪れる人を癒やしてくれるでしょう。
2021/10/21 蔦沼から長沼までの歩道
美しい風景は、後世に残る努力をすることによって、いつまでもそこにそのままに有り続けてほしいものです。
2019/10/31