アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
みちのく潮風トレイル~八戸市・階上町・洋野町~
2021年09月10日八戸自然保護官事務所の大友です。
今回、八戸自然保護官事務所の管轄区間である、
みちのく潮風トレイル3市町についてご紹介したいと思います。
みちのく潮風トレイル(MCT)1,024kmの起終点は北が青森県八戸市、南は福島県相馬市となっています。
八戸市区間は公共交通や高速道路からのアクセスが良いため、
MCTをセクションに分けて、初めて歩く方の起点となる事が多いです。
MCTの起終点であることを示すトレイルヘッド&エンドポイントがある八戸市の蕪島は
三陸復興国立公園の北の玄関口でもあります。
また、ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されていて、
ウミネコの繁殖を間近で見る事が出来るのも蕪島の魅力です。
毎年3月頃飛来し、賑やかな鳴き声が春の訪れを感じさせてくれるため、暖かな陽気の中、
ウミネコさんたちに見送られながらトレイルをスタートする事が出来ます!
八戸市区間は14kmとMCTの中で最も距離が短く、高低差もほとんどなく、
遊歩道も多いためとても歩きやすい区間で、約半日で歩く事が出来ます。
夏でも冷涼な風が吹くため、海浜植物や高山植物が隣り合って咲き、
特に中須賀周辺は『花の渚』とも呼ばれていて八戸市区間の人気ポイントでもあります。
中須賀から南へ進むと種差海岸天然芝生地があります。夏はエメラルドグリーン、
冬はゴールドの広大な天然芝生地でそれぞれの季節、魅力を感じられる場所です。
キャンプ場や民宿があるため多くのハイカーさんは種差海岸に泊まる事が多いようです。
種差海岸から南下すると1時間半程度で階上町区間に入ります。
階上町区間は沿岸から内陸に入り、
階上岳登山がルート上にあるため少しハードに感じられる区間かもしれません。
距離も34kmと八戸市区間の倍以上あります。
階上町区間はMCT唯一、登山がある区間です。
歩いて来た沿岸を山頂から望む事が出来るため、感動もひとしおです。
海外のロングトレイルには「トレイルエンジェル」と呼ばれる方たちがいます。
ルート沿いの住民や立ち寄った街の人たちがハイカーをサポートするというものです。
MCT全線にもエンジェルは存在しておりますが、
階上町区間は町ぐるみで取り組んでいる『はしかみおもてなしエンジェル』という方々がいます!
少し疲れを感じ始めた頃に町の至る場所でエンジェルと出逢えると、癒やされます!
そこでしか出逢えないエンジェルとの交流もMCTの魅力です!
階上町区間を南下すると岩手県の最北町、洋野町区間に入ります。
ここでは洋野町ならではの地形を利用し作られた「ウニの増殖溝」を見る事が出来ます。
増殖溝にはコンブやワカメが生い茂り、それらの豊かな餌を食べて育った洋野町のウニは絶品です!
そこにしかない景色と絶品グルメはセットなのかもしれません!
絶景があれば絶品グルメあり!常にワクワクしながら歩けるのがMCTです。
最後になりますが洋野町区間にもMCT唯一のポイントがあります。
久慈市区間との境にある「高家川の渡渉」です。
蕪島から歩いてきた方はここから向こう側はナニか違うと感じる瞬間かもしれません。
夏は冷たい水で涼み、冬は歩き続けてきた足のアイシングとなる渡渉。
ジャバジャバとワイルドに渡り、久慈市区間に進んでいただければと思います!