2021年8月27日
2件の記事があります。
2021年08月27日休屋仮囲いプロジェクト
十和田八幡平国立公園 村田 野人
8月も末、十和田湖はすっかり秋の雰囲気なのですが、虫の音の背後で「ガコッ、ガゴゴ」という重機の音も時々......。
現在、休屋では廃屋の撤去や老朽化した公園施設の統合といった、引き算の景観改善が行われています。トラックや重機が行き交い古い建物を壊していきます。最初は仮置場の隅にちょこんとあった廃棄物の山もだいぶ大きくなりました。
休屋集団施設地区北駐車場公衆トイレ新築工事
ただ、工事が進むほど公園としてはどんどん良くなっているはずなのに、休屋を訪れた方にとっては工事の仮囲いの壁が長く続いているだけで、なんのための工事かよくわからないと思いますし、あまり楽しくありません。
そこで、『休屋仮囲いプロジェクト』として工事現場を囲む仮囲いの壁に休屋の移り変わりとこれからについての展示をすることにしました。資料の収集や展示内容の推敲は当事務所の職員が行い、工事を行っている西松建設株式会社の協力を得て展示物を作成しました。
それぞれの時代の十和田湖の産業の移り変わり、それによって変わっていく休屋の様子を展示しています。貴重な資料や写真を見ることができます。また、新しい休屋への思いや今後の町並みについても紹介しています。休屋にお立ち寄りの際は、ご一読下さい。
展示物の一部(観光客で賑わう休屋-昭和初期-(十和田湖国立公園協会提供))
展示物の場所は、下記URLになります。工事が終わるまでの短い間ですが、お楽しみ下さい。
こんにちは。羽黒自然保護官事務所の風間です。
先日、羽黒山の古道「奥の細道古道」に行ってきました。
あの松尾芭蕉も通ったという道です。峰入修行で山伏たちが歩く道でもあります。
有名な石段の反対側に在り、知る人ぞ知る古道です。
まずは羽黒山について。
出羽三山の一つであり、三関三度(さんかんさんど)の霊山として栄えてきた山です。羽黒山で現世利益を、月山で死後の世界を体験し、湯殿山で新しい命をいただいて生まれ変わるという、蘇りを果たす山の一つがここ羽黒山です。
御開祖である蜂子皇子の修行の道は「羽黒派古修験道」として結実し、1400年もの長い間受け継がれています。今日では羽黒山伏の形をとって、厳しい修行道が続いています。
今回紹介する道は、その山伏が修行のために通る道です。
奥の細道古道の玄関口には、羽黒山修験本宗の本山である荒沢寺があります。出羽三山1400年あまりの歴史を継承する寺院であり、羽黒山奥ノ院と呼ばれ、山伏が修行する道場です。苔むした石碑に、至る所にいる神様に、歴史が刻まれた木製の門に、身が締まる想いで出発しました。
スギやブナに囲まれた道です。所々に石段がありますが、道自体は急でもなく自分のペースで心地よく進むことができます。途中で他の人に会うことはありませんでした。鳥の声と木々の音だけが私の周りを取り囲みます。
山道を進むと、突然開けた場所に出ました。峰中堂です。
羽黒派古修験道の修行の拠点になっています。長い木造の大きな建物です。
吹越神社です。
羽黒派古修験道の根本道場であり、吹越神社は三山の開祖・蜂子皇子を祀っています。ひんやりとした道をどんどん進んでいくと、大きな駐車場に出ます。その先は羽黒山山頂です。
山頂に着きました。出羽三山神社の大きな三神合祭殿が姿を現しました。
片道40分というところでしょうか。ちょっとした散策にはもってこいの道だと思います。
皆さんも古道を歩いて1400年の歴史を感じてみてくださいね。
おまけ。
帰り道、元来た古道を下っていたら私の周りを取り囲むように何かが崩落する音が聞こえました。鳥も一羽もいない場所で、何の音だったのでしょうか。今まで感じたことのない感覚に襲われて全身に鳥肌が立ち、足早で下山しました。不思議です。