アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
以東岳 素晴らしい縁の下の力持ち
2021年06月16日こんにちは。羽黒自然保護官事務所のアクティブレンジャーの風間です。
6月5日から7日の2泊3日で、磐梯朝日国立公園朝日連峰の大鳥小屋(タキタロウ山荘)・以東岳避難小屋の山小屋開きに現地確認も兼ねて同行させていただきました。
山小屋には沢山の人が関わっており、そのような方がいらっしゃることで山の維持管理が行われているということをひしひしと感じた数日間となりました。
泡滝登山口に到着しました。前日の大雨が嘘だったかのような美しい晴天です。
登山口というのはいつも、異世界の入り口のようでいいですね。無事に山小屋開きが終わりますようにとお願いしながら足を踏み入れました。こちらの泡滝登山口は毎年、登山者カウンターが設置している場所でもあります。
大鳥小屋までの距離を示したプレートを設置していきます。0/10、1/10・・・と続いていきます。プレートの茶色い色は、国立公園内の景観に配慮した色となっています。
道中、新緑あり滝ありでとても美しい場所でした。鳥のさえずりも絶え間なく耳に入ってきます。
途中には橋が架かっていますが、人力で鉄板を取り付けています。沢山歩いた後に休みもせずに鉄板の取り付け作業に取りかかる皆さんはさすがです。この橋なしでは川を渡るのは難しいでしょう。感謝ですね。
完成した橋です。端に針金がついていて、鉄板を固定しています。微力ながらお手伝いさせていただきましたが、皆さんの職人並みの手つきには到底かないません。
清流で顔を洗って水を汲んで・・・
沢沿いを歩いて・・・
やっとつきました!大鳥池の畔に建つ、大鳥小屋(タキタロウ山荘)です。小屋内の掃除、ベンチの組み立て、水の確保等をしました。
山の中でこんな風に水が出るとありがたいですね。水があるのは当たり前ではないということを忘れてはいけませんね。いつまでも使えるように、きれいに使っていきたいものです。
小屋から見た以東岳と大鳥池です。「タキタロウ」という魚をご存じでしょうか。幻の怪魚といわれ、大鳥池に住むとされる大きな魚です。100年以上前から目撃情報が相次いでいるそうですが、正体は不明なのだとか。大鳥池をのぞいたら、いるかもしれませんね・・・。ちなみに私がのぞいたときはアカハライモリにだけ会えました・・・。
二日目になりました。以東岳避難小屋に向けて出発です。最初から流れの強い川を渡っていきます。川の石も非常に滑ります。徒渉の際は、流れに足を取られないように最新の注意を払い、一人ずつ渡りましょう。
大きな雪渓が残っており、アイゼンをつけて登っていきました。途中、ウサギさんの大きな落とし物が沢山落ちていました。こんな環境でもたくましく生きているのですね。
登りは急登コースでしたが、さっきまでいた大鳥池が眼下に見え、疲れが飛んでいきました。
ついに、以東岳避難小屋に到着です!新しく、きれいな木造二階建ての避難小屋です。掃除やベンチ建て等しました。
二段ベッドが並ぶ二階の様子です。
トイレは微生物の力を利用して分解する、バイオトイレです。使用した後にハンドルを回し、酸素を取り込ませて分解を促進させます。電気のない山小屋ならではのシステムです。管理してくださる人がいて、そして使う人がきれいに使うからこそ清潔さが保たれています。快適な登山のために皆様是非ご協力お願いいたします。
以東岳山頂の景色です!!以東岳避難小屋から10分ほどで登ることができます。眼下には朝日連峰、奥には飯豊連峰、北を向けば月山や鳥海山、庄内平野まで見ることができます。残雪が残る今ならではの景色を拝むことができました。
3日目はオツボ峰コースで下山しました。三日間ずっと良い天候に恵まれました。実は、私は最強の晴れ女です。下山した翌日は小雨が降ったので、山の上でパワーを出しきったみたいです。
途中大きな雪渓があり、崩れている箇所が何カ所もありましたので通行の際はご注意ください。行きは通れたところが帰りは崩れていたという場所もありました。危険だと思ったら大きく迂回しましょう。山の事故は下山時に多く起こっています。登山は安全第一です。
今回は初めての山小屋開きの参加となりましたが、改めて山には沢山の人が関わっていて、その人無しでは成り立たないということがわかりました。感謝して山に登れる人間になりたいものです。
おまけ
私は趣味で絵を描くのですが、以東岳のイメージを描いてみました。
沢山の「パワフル」が集まった山でした。
皆さんも登ってみて、自分だけの以東岳を描いてみてはどうでしょうか。