アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
待望の砂浜
2021年05月18日こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
岩手県大槌(おおつち)町の三陸復興国立公園浪板(なみいた)海岸は白砂青松、サーフィンや海水浴が盛んで岩手県の三陸海岸を代表する美しい海水浴場でしたが、東日本大震災による地盤沈下と大津波によって砂浜と多くの松が流されてしてしまいました。
かつての美しい砂浜と賑わいを取り戻したいと地元の方々の署名運動が始まり、2019年にやっと砂浜再生のプロジェクトが動き出しました。そして2020年度内を目指していましたが完成時期は、漁期と工事との兼ね合いや時化などの影響でもう少し延びるそうですが、今の浪板海岸にはたっぷり砂浜ができています。
地域の皆さん念願の海開きはもう目の前です!
ここに至るまで様々な観測や研究、地域の努力があり感動もひとしおです。
浪板海岸の過去と工事途中の現在の姿をご覧ください。
【左】2016年12月の北側 【右】2021年5月の北側
【左】2016年12月の南側 【右】2021年5月の南側
この浪板海岸をはじめとする三陸リアスを存分に目で楽しめる場所があります。山田町と大槌町にまたがる『鯨山』。みちのく潮風トレイルのルートにもなっています。
標高610メートルとそれほど高く聞こえないのですが、海抜ゼロから自分の足で登ると歩きごたえたっぷりで植生の変化や風の強さのちがい、見える水平線の高さの変化など登山気分を気軽に楽しめる山です。山田町側には鎖やロープを使う岩場もあり、夏の登山シーズンに備えてトレーニングとして足を運ぶ登山愛好家たちもいます。
なんと言ってもこの山の魅力は山頂からの眺めです。リアスが一目で分かる太平洋側はもちろん、内陸側の山々が眼下に広がる風景も素敵です。海側の見える範囲ほとんどが三陸復興国立公園指定エリア、贅沢な眺めです。
この時期は芽吹いたまぶしい新緑と咲き出した色とりどりの花々に励まされながら登山ができます。三陸海岸を山から楽しむのはちょっと上級者の気分ですね。
待ちわびた砂浜とそれを見下ろせる登山、セットで大槌町を満喫してみませんか。