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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ホワイトアウトの睦月から如月へ

2021年02月12日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

全国的に悪天候だった睦月の月末、みなさんの地域に被害はありませんでしたでしょうか?

如月も2週目、月曜は小雪舞う底冷えする朝でした。

〈2021/2/8 出勤時の一度目の朝日:左はカツラの雄株 右はサワグルミ〉

※峠から外輪山の中に入ると太陽は沈んでしまい、湖畔ではまた登る朝日を見る事ができます。

コロナ禍で世界中の車の往来が減り、地球温暖化にブレーキがかかったのか、空気が澄んでネパールのカトマンズの町から以前は見えなかった世界最高峰のエベレストが眺められる日がある、というニュースを見ました。アルピニストの憧れの山エベレストを、コロナ禍が落ち着いたら眺めに行こうと思うこの頃です。(けして登ろうとは言いませんからご安心を)

初詣も遠くに行けない今、パワースポット十和田神社の様子をお伝えしようと思います。

〈良く見ると手の込んだ細かい彫刻が施されています〉

〈神が宿るという窓木:来られた際には探してみてください〉

こんなご時世ですから、写真に向かって祈る事で、御利益がありますように。

また、月末から2月始めにかけて、出勤時に何度かホワイトアウトに見舞われました。峠のカーブで突然前が見えなくなり、方向が全くわかりません。ハザードを点灯しながら止まるしかないのですが、後続車がいないのを祈るのみでした。

〈吹雪の日の湖畔のオオヤマザクラ:咲く日が待ち遠しい〉

降り続く雪の合間にのぞく青空がとても眩しいです。

以前、木々の冬芽を紹介しましたが、空を見上げて、葉の落ちてしまった樹木の枝ぶりを眺めるのも楽しみのひとつです。

〈春待つカツラの雄株〉

〈カツラの雌株には実が残って賑やかです〉

何が違うの?よく見れば違うのです。

〈オニグルミは遠くからでも冬芽がわかります〉

睦月とは正月に人が集まって睦まじくする月という意味があるそうです。

今年はコロナ事情で賑やかに集まってという状況ではなかったかと思います。

岩手出身の私自身も、帰省はおろか家族にももう一年近く会えていません。

実家では、医療従事者は自分の外出規制だけでなく、来訪者に関しても厳しく、秋田在住の自分が行くことで、二週間出勤出来なくなるということです。大変な世の中ではありますが、十和田湖畔に勤務し、八幡平の懐に住まい、日々移り変わる風景に包まれていることが、心のよりどころになっております。

しかし美しさと隣あわせの厳しさも時折牙をむき、様々な試練を与えてくれるものです。

それでも、厳しさがあるからこそ美しさがより際立つのでしょう。

日々の風景はけして同じものはなく、毎日でも飽きることなく、毎朝、毎夕、湖畔に佇みしんみり自問自答するのが日課となっています。

〈湖面に浮かんだ氷には鳥達なら乗れるかな?〉

〈アイスバブルにちょっと似ていますね〉

※アイスバブル:湖底からわき上がるガスなどが湖面近くで凍り何層にも閉じ込められて出来る現象。

目には見えなくとも確実に春の兆しが隠れていますね。鳥達のさえずりや木々の芽の様子にそれを感じる瞬間があります。

〈キハダの実をついばむヒヨドリ〉

〈かわいらしい声が春を思わせるカワガラス、シャッター音で逃げてしまいました〉

こんな時だからこそ、少しでも現地の風景をお届けできたらいいと思っています。

時折、「日記を楽しみにしています」とメールに添えてくださる方がいらっしゃり、とても励みになります。そんな方のためだけでなく、今日も伊藤は、吹雪であろうと湖畔に長靴で切り込んでいこうと決意しました。

ど ん と は れ

(故郷の岩手で民話の最後に使われる おしまい めでたしめでたし などという意味です)

それにしても、冬がどんどん加速して日にちが足りない、春は待ち遠しいものの、もっと冬が長かったらとジレンマの最近の伊藤です。