アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
冬への準備2(高病原性鳥インフルエンザへの備え)
2020年11月24日こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。
冬に向かって、十和田湖と八甲田山ではスキーやスノーボード、樹氷、しぶき氷、氷瀑など魅力的なモノがたくさんあります。
でも、冬にはあまり発生してほしくないこともあります。いわゆる高病原性鳥インフルエンザです。今回はそれに対しての準備業務の話です。
高病原性鳥インフルエンザは鶏など(家きん)で被害がでやすく、専門家から渡り鳥等の野鳥が関与している可能性があると指摘されていることから養鶏場における対策では野鳥が重視されています。また、海外では野鳥においても高病原性鳥インフルエンザの感染により数千羽に及ぶ大量死が報告されている種もあります。国内では20種類以上の野鳥において感染が確認されていることから、生物多様性の面でも重要です。
当事務所では、十和田、小湊、下北西部の3つの国指定鳥獣保護区の鳥類の生息状況調査※1と死亡野鳥等調査※2を担っています。
2つの調査のうち特に死亡野鳥等調査は、高病原性鳥インフルエンザウィルスの簡易検査を行う必要があり、普段触れることのない道具を使うため日頃から様々な準備が必要です。先日、改めて「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」※3を読み込み、調査の流れ、死亡野鳥の安全な取り扱い方法、適切な検体の採取方法、簡易検査キットの正しい使い方について復習しました。また、発生※4に備え調査用の資材(使用期限切れ、出動体制)についても確認しました。
今シーズン、家きんを除く野鳥では3件の高病原性鳥インフルエンザウィルス確定検査陽性の結果が出ており※5、例年以上に緊張感をもって準備しています。
※1 通常時の鳥類相を把握し、異常行動を示す野鳥や死亡個体の発見に努める。
※2 異常行動を示す野鳥や死亡個体を発見した場合に高病原性鳥インフルエンザウィルスの保有状況を調べる。
※3 http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/manual/pref_0809.html
※4 野鳥での高病原性鳥インフルエンザウィルスの感染または環境資料からの同ウィルスの検出を高病原性鳥インフルエンザウィルスの発生と呼ぶ(野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル3ページ「本マニュアルの目的」より)。
※5 2020年11月17日時点
<調査用資材>