アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
晩秋の十和田八幡平国立公園
2020年11月17日大自然に抱かれ暮らし、仕事をしていると、
季節の移り変わりを知るのは暦ではなく、
肌で感じる空気や、目に映る色や、動植物の営みだったりします。
今年の気候をどのように感じとったのか、
十和田市焼山の駐車場に5月頃の花であるサツキの花が咲いていました。
〈朝方の雨に凍えそうなサツキが数輪〉
また、休屋には早春の花であるキクザキイチゲが一輪咲いています。
〈ひっそりと一輪だけ〉
植物達は自然界のあらゆる情報を全身でキャッチし、
巡り来る季節の準備をしているのでしょう。
休屋はイチョウが散らないうちに積雪となりました。
〈11/9の早朝〉
十和田湖では渡り鳥も増えてきました。
〈11/6 十和田湖畔休屋〉
〈11/8 十和田湖畔宇樽部〉
鳥達を眺めながら、
毎年同じ群れがやって来るのか、どこから来るのかなど考え出し、
湖畔で時間を忘れてぼんやりしている時もあります。
さて11月8日、自然公園財団十和田支部主催の
「奥入瀬クリーンハイキング」が実施され、
十和田発八甲田地区のパークボランティアの皆さんと一緒に、
晩秋の奥入瀬渓流の清掃をしてきました。
〈参加者45名のうち焼山集合の方々〉
朝は雨模様でしたが、作業を開始する頃には穏やかな小春日和となりました。
早朝の奥入瀬渓流の人出も車も少ない早朝は、せせらぎの音が身体の隅々にしみわたり
元気になるような気がしました。
こんな皆さんの様々な努力で、美しい奥入瀬渓流が保たれているのです。
〈晩秋の奥入瀬渓流〉
〈回収した後、自然公園財団の方が分別したゴミ〉
また先月になりますが、10月20日に業務で行った岩手山の様子をお伝えしたいと思います。
この時期にはめずらしく穏やかな天気で、終日無風の一日でした。
〈岩手山上坊登山口付近より朝焼けの岩手山〉
〈平笠不動避難小屋付近より山頂をのぞむ〉
〈外輪山よりのぞむ御苗代湖〉
〈山頂をめざします〉
〈穏やかな山頂〉
私は、30年もの間岩手山の麓に住み、
その姿を愛で、時には山頂を目指し、花を愛し、月や星を愛で、ご来光を拝むなど
沢山の恩恵を受けてきました。
岩鷲山、南部片富士とも言われる山は、特別な存在です。
父のようであり、恋人のようであり、
近くにいるだけで何とも言えない幸せな気持ちになります。
人生の中で、一番長く過ごした場所は、
私のコアな部分を形成しているとさえ思います。
〈帰り道でアスピーテラインから眺めた岩手山の夕景〉
現在は、十和田湖、奥入瀬渓流、八甲田の山々の美しい風景に囲まれ、
また幸せな日々を過ごしています。
そんな幸せを感じる風景を皆さんにお届けできたらと思っています。
〈11/8 十和田湖畔宇樽部の紅葉〉
美しいものを多くの人にお届けしたくて、
通勤途中や業務中の一瞬を写真に残したいと思いますが、
伝えきれないものもあります。
寒さも加速度を増してくるこの時期、今しかない風景が待っています。
雪が降ると犬のようにはしゃいでしまう伊藤が、
これから冬ならではの風景をお届けしたいと思います。
〈11/13 雲海に浮かぶ中山半島と雪を抱いた南八甲田〉