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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

初冬の八甲田

2020年11月02日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

標高が八甲田よりは低い蔦沼などが紅葉真っ盛りの10月24日、

渋滞対策の業務の後に、十和田八甲田地区のパークボランティア活動である、

八甲田薬師沢に残雪期の道迷い防止のために設置してある

ロープの撤去作業に同行してきました。

蔦沼は、デッキ上が立っていられないほどの強風が吹き荒れていました。

八甲田の山々の悪天候も予想されたため、活動中止も念頭に入れながら

酸ヶ湯インフォメーションセンター前駐車場に向かいました。

参加者4名の方が、既に登山の準備をされて待っていました。

悪天候のため活動中止も提案しましたが、途中下山も視野に入れつつ出発しました。

私は、参加予定の方を待ち、少し遅れて出発しました。

酸ヶ湯インフォメーションセンター駐車場には、車は少ないものの

登山の準備をして向かっていく方々が見受けられました。

地獄湯ノ沢から上部は風が強く、戻って来られる方数人とすれ違いました。

仙人岱で作業されているパークボランティアの皆さんと合流し、ロープを撤去し、

仙人岱避難小屋の地下に収納しておき、春の残雪期に再度設置作業をします。

〈仙人岱上部に張ってあるロープの撤去作業〉

作業は一時間弱で終わり、避難小屋で休憩して解散しました。

〈十和田八甲田地区パークボランティアの精鋭部隊〉

八甲田大岳の上空は雲が激しく流れていて、かなりの風が予想されましたが、

途中撤退覚悟で大岳に向かうことにしました。

〈薬師沢から小岳をのぞむ〉

アオモリトドマツの木々の綠、霧氷の白と、時折見える青空の色は、

冬の始まりならではの彩りです。

〈仙人岱避難小屋から八甲田大岳〉

森林限界から上は、時折立っていられないほどの突風で、

立ち止まって耐風姿勢をとる場面もあり、

慎重にゆっくり歩きました。

しかし、慣れた道は先が想像できるので安心感があるものです。

高山植物の凍り付いた様子や、霧氷の中で鮮やかに揺れるナナカマドの赤い実が、

とても美しく、寒さも忘れてしまいました。

〈薬師沢から大岳の途中にある鏡沼〉

山頂も変わらず風が強く、写真を数枚撮っただけで大岳避難小屋方面に下山しました。

〈八甲田大岳から高田大岳をのぞむ〉

〈八甲田大岳山頂〉

毛無岱を通って酸ヶ湯温泉に下山です。

〈大岳避難小屋に下りる途中からのぞむ毛無岱〉

名湯酸ヶ湯温泉に入りたいのは山々ですが、次の日も早朝業務ですので

早く帰って寝なければなりません。

八甲田の山々は一年を通して入山者がありますが、既に積雪もあり、

気温も氷点下に近い日もありますので、しっかりとした装備でお出かけください。

寒い日の登山は、下山後の温泉が格別ですね。

これからの季節は冬期通行止めの道路もありますので、情報収集が必須です。

冬も楽しい八甲田でお待ちしています。