東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

巡り来る季節のために

2020年09月24日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

十和田湖は、団体の観光バスは少ないものの、

少しずつ修学旅行生や観光客がもどりつつあるようです。

〈紅葉前の深い綠に覆われた乙女の像〉

水量が少なかった昨年に比べると、今年は長雨が続いたせいか、かなり水位が高いです。

〈水位がかなり低かった昨年の9月の写真を見つけました〉

十和田湖に春を告げる花がカツラだとすると、

秋の訪れを告げるものもカツラといえるかもしれません。

湖畔を歩いていて、

ふと甘い香りが漂って見上げると、

カツラの葉っぱが黄色みを帯び、太陽の光を精一杯あびています。

〈実を結び、落葉を待つカツラの雌株〉

カツラの新緑は、樹木の周辺でほのかな香りが漂いますが、

紅葉の時期の葉っぱは更に香ばしい甘い匂いになります。

森を歩いていると、この香りで樹の存在を知ることができます。

まだ日差しが強い日もありますが、植物達はすでに来年の準備を始めていました。

〈トチの実と、すでにネバネバで覆われた来年の冬芽〉

〈コブシの実と来年の冬芽〉

〈すでに毛布のような毛をまとい準備をしている冬芽〉

〈クロモジの実、花芽、冬芽:冬眠あけに熊が新芽を好んでたべるそうです〉

湖畔は、秋の実りで彩られています。

〈風にゆれるツリバナ〉

〈実が角張っているオオツリバナ〉

自然の脅威に逆らうことなく共存していかなければならないのは、

人間も動植物も変わりありません。

コロナウイルスも自然の脅威と捉え、共存していかなければならない気がしています。

そうして、数々の困難を乗り越えてきた人類は、きっとこの困難の先に

明るい日々を見いだすことが出来ると信じています。

〈穏やかな夕暮れ〉