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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

なごり雪

2019年03月28日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

木々の芽が膨らみ、モノトーンだった十和田湖の外輪山は、春色の水溶き絵の具を少しだけ

落としたような色合いになってきました。

あちこちに春の兆しを感じ始めていた矢先、やはりやってきたのはどっしりと重い雪でした。

先週末は前が見えないほどの吹雪で、一日吹き荒れた天気でした。

そして今日もまた、冬に逆戻りしたような天気です。

〈3/28 恵比寿大黒島〉

植物も動物も驚いた事でしょう。いつもの事だと気にも止めないのでしょうか?

そんな中で、ずっと観察していた湖畔のマンサクの花がほころんでいました。

可愛らしい黄色の花は、日当たりの良い枝は、太陽の光を受けひらひらと踊っているように

咲いていました。

一方、日陰の多い枝の花は、くるりと縮こまったようになって寒さに耐えているように見えました。

〈日当たりの良い枝の花〉

〈日陰の枝の花〉

地面はまだまだ雪に覆われているところが多いですが、雪の下では春を心待ちにしているお花達が

今か今かとそれぞれの出番を待ちわびていることでしょう。

野の花は誰に褒められる事がなくても、毎年同じ時期に同じ場所に咲きます。

花咲いて、実を結び、また芽を出し、そんなくり返しを延々と続けてきたのでしょう。

私達はそんな自然の中で、歓喜したり、悲しみの涙を流したりすることもあるでしょう。

後に同じ風景に出会って、その時の感情が蘇ったりすることがあるものです。

春は、心躍る季節ですが、新しい門出とともに別れの季節でもあり、少し寂しくもあります。

十和田湖の風景が、皆さんの心に思い出とともに、鮮やかに、温かく、

生き続けることができたらいいですね。

〈マンサクの花越しに見る恵比寿大黒島〉

一年間、十和田八幡平国立公園で私が関わった地域の、四季折々の風景や、日々の業務の様子を

自分なりにお伝えしてきました。

ご覧になった方が少しでも、私達の業務やそこに広がる素晴らしい自然に感心を持っていただけたら

幸いです。