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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

森吉山麓高原の新緑

2018年05月18日
秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所の足利です。

 5月の半ばを過ぎて、冬期閉鎖中の森吉山野生鳥獣センターの開館準備を本格的に進めているところです。先日、現地に行ってアクセス道路の状況確認や建物に被害等がないか確認してきました。

  

<今期の開館を待つ森吉山野生鳥獣センター>

   

 アクセス道路については、道路管理をしている北秋田市が点検を実施して通行に問題が無いことを確認しており、実際に野生鳥獣センターまで支障なく通行できました。また野生鳥獣センターも大量の積雪に耐え、被害も無さそうですので6月1日(金)の開館に向けて準備を進めていけそうです。

 

 建物や周辺の確認後、付近を歩いてみました。現在、野生鳥獣センターの周辺は「新緑」の季節を迎えており。個人的には今が森吉山麓高原の1年で一番美しい時期だと思っています。

 

<残雪の森吉山外輪山と新緑の高原>

   

 が、しかし今はまだ野生鳥獣センターは冬期閉鎖中ですし、近傍施設も同じく冬季閉鎖中ですので、一帯には使えるトイレもありませんし、緊急時に駆け込む場所もありませんので、5月中の入山等はお勧めできません。野生鳥獣センターの開館準備が整いましたら、皆様にお知らせしますので、それまでお待ち下さい。

   

   

   

    

 さて、話題を変えまして・・・この日、目に付いたブナの話をしましょう。

実は、野生鳥獣センターへ向かう途中の道路脇にブナの雄花が大量に落ちていたので、この先でも花を咲かせたブナが見られるだろうなと期待が膨らみ、周辺を歩くのを楽しみに現地へ向かっていました。

  

<道路に降り積もったブナの雄花>

  

 

<ブナの花と新緑>

    

 私個人の見立てと感想ですが・・・昨年は、『花が付いたブナがないか?』と探すと所々に花を付けたブナが見つかったといった状況でしたが、今年は花を付けたブナがあちこちにありました。ほとんどのブナが花を付けているというと言い過ぎのような気がしますが、探さずとも花を付けたブナは見つけられるといった状況でしょうか。

   

 ちなみに、東北森林管理局が毎年発表している『ブナの開花・結実調査』によると直近5年間の秋田県の豊凶指数は、H25:開花時3.6・結実時2.9(並作)、H26:開花時0.8・結実時0.4(大凶作)、H27:開花時2.4・結実時1.8(凶作)、H28:開花時0.5・結実時0.1(大凶作)、H29:開花時1.0・結実時0.7(大凶作)となっていました。秋田県内でブナが豊作だったのはH17まで遡ることになる様です。

 一方、秋田県林業研究研修センターが、森吉山麓高原で実施している『森吉山麓高原自然再生事業植栽ブナ等モニタリング調査』によるとH25:豊作、H26:凶作、H27豊作、H28:凶作、H29:並作となっていて、森吉山麓高原のブナの結実状況は隔年開花が明瞭であるとしています。

   

 今年のブナの作況がどのような評価になるのか、気になるところですが、それはさておき、ブナの花がこれほどたくさん咲いている様子は、いつでも見られるものではありません。私もこのチャンスにたくさん写真を撮って、観察道具を色々と使ってブナの花をじっくり観察してきました。

 

 皆さんの周りのブナはどんな状況ですか?