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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

十和田湖・外輪山の白地山山開き

2017年06月07日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

こんにちは。

十和田八幡平国立公園管理事務所の伊藤あけみです。

6月の幕開けとともに、あちこちから山開きの便りが聞こえてきました。

ここ十和田湖でも64日に、十和田湖の外輪山に位置する白地山(標高1034m)の山開きが、小坂町教育委員会の主催のもとに行われました。

前日からの雨が降り続く中、集まった30人ほどで、鉛山登山口を5:30分に出発しました。まずは鉛山峠を目指しました。

30分ほどで白雲亭展望台ですが、当日は景色が全く見えません。立ち止まると寒いくらいです。

登山道では、春を待ちわびていた花々が我先にと咲き誇っていました。この山で沢山見られるツバメオモトが、登山道のあちこちで私達を迎えてくれます。シラネアオイは雨に打たれて少ししょんぼりしているように見えますが、天然のシャワーを浴びた後のすがすがしい翌日の姿を想像して嬉しくなりました。

雨のブナ林の楽しみの一つに、樹幹流があります。ブナの葉っぱは自分の根元に水を集めるような形状になっていて、雨が降ると幹を雨水が流れ落ちます。その様子を見ていると、自然の不思議さや、植物の生命力を感じられるような気がしました。

そして一時間ほどで標高866メートルのミソナゲ峠に到着。登山道は所々が開けていて、晴れていたら十和田湖の展望が素晴らしいと思われる場所が沢山ありました。それは、次の楽しみとすることにします。

登山開始から二時間半ほどで997分岐、麓では終わってしまった桜が今咲き始めたところでした。

そして雨の日の登山の楽しみのひとつ、サンカヨウの花。

白い花びらが雨に濡れて透きとおり、まるでガラス細工のようです。

雪がとけたばかりのところには、みどりのキノコのようなサンカヨウの赤ちゃんもいました。

3時間弱で長引分岐、しばらく歩くと木道が敷かれた湿原が広がります。様々な早春の花が咲き始めていました。秋の草紅葉を想像し、またわくわくしてきました。

湿原の中を歩いていくと15分ほどでの別の登山道とぶつかり、10分ほどで1034メートルの山頂です。山頂からの展望も全くありませんでしたが、晴れていたら八甲田の山々も眺められるそうです。

身体が冷え低体温症が心配されるので、休憩は少なめにして、下山開始です。

下りは十和田西湖岸の大川岱に下ります。雨でぬかるみ、所々が沢のようになり、歩きにくいなかを慎重に歩きました。

下山後は、関係者や登山者が参加しての登山シーズン開始の安全祈願が執り行われました。

晴れていれば、十和田湖畔鐘の鳴る丘「樹恩の鐘」(小坂町町政40年と十和田八幡平国立公園指定60周年を記念して建てられたドイツ製の鐘)の前で行う予定でしたが、雨のため小坂公民館十和田分館(旧十和田小中学校)で行われました。

その後みなさんは十和田ふるさとセンター(学校カフェ)でヒメマス料理を食べたり、十和田湖プリンスホテルで入浴したりと、楽しんでいました。

十和田八甲田地域には他にもたくさんの山や湖沼、湿原などがあり、体力に合わせてコースや場所を選択して楽しめます。登山後は温泉もいいですね。登山が好きな人も、これから挑戦してみようと思う人も、それぞれの楽しみがきっと見つけられるはずです。ぜひどうぞ十和田八甲田エリアへお越し下さい。