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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

合同保全作業②飯豊連峰編

2016年09月20日
羽黒 古川望

 9/10(土)~12(月)飯豊連峰天狗ノ庭にて、合同保全作業を行いました。羽黒アクティブ・レンジャーの今年の仕事の中では、最も多くの人と接する機会をもつ業務です。

 参加者からメールやFAXで受付をすることも業務の一つでした。メールの中には、「こういう作業がしてみたい」「天狗ノ庭には行けないが、当日の荷上げに協力したい」「少しでもできることがあれば」と並々ならぬ思いが書かれていて、身が引き締まる思いでした。

【作業の様子】

 天狗ノ庭はもともとの植生が、登山利用者の影響でスピードを持って変化したと言われています。作業内容は地塘の回復と、植物が生える地盤を安定化させることです。

【地塘掘りの様子】

 以前ここには地塘がありました。しかし土砂が溜まり消失したため、土砂を除くことで地塘の再生に挑みます。新しい保全活動の試みです。スコップで掘った土砂を、バケツリレー方式で運びます。「もう1往復いくぞー!!」「重いよ、気をつけてー」と元気な声が飛び交います。急斜面を運ぶこと3往復、この土砂は土嚢袋に入れる等して後ほど使用しました。

【地塘の様子、約3時間後】

 なんと、約3時間で地塘に水が染み出している様子が確認できました。保全作業では数年かけて効果が見られるため、数時間で様子に変化が見られることはとても珍しいことです。腰が痛い・・・と言いながら土砂を運んだ皆さんの顔は、疲れが吹き飛んで、驚きとうれしさでいっぱいの様子でした。

【当日集合写真】

 2泊3日を50名ほどの参加者と一緒に過ごしました。その中で「無理をしないでいいよ」「羽黒にきてどうですか」「気配りをありがとう」と声をかけてくれる方々がいました。そわそわしているとき、安心できる言葉を伝えることは難しいことです。この3日間ではそれがあらゆる場面で見られました。長く活動が続いているのは、こうした心配りの上に成り立つ関係があってイキイキ作業できているからかもしれません。

 当日参加できずとも荷上げにご協力下さった皆様、大所帯の宿泊に際しご配慮いただいた小屋管理人の皆様、資材を提供いただいた関係者の皆様、ありがとうございました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。