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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

晩秋の晴れの日

2012年11月09日
十和田
 5日。晴。
 自然公園財団十和田支部主催(東北地方環境事務所後援)の十和田湖船上観察会が行われました。遊覧船に乗って十和田湖を一周するという何とも贅沢な観察会です。大変人気のある観察会のため、今年から季節ごとの年4回行っております。約4時間の遊覧で、希望者には1000円で日本の駅弁ベスト30の大館市の「花膳鶏飯弁当」が食べられます。もちろん私は毎回食べます。楽しみの一つです。

 四季の中でも、秋は特に訪れる方の多い季節。遊覧船とタイアップした企画のため繁忙期を少しずらして行うのですが、今年は紅葉が遅れ気味。例年であれば名残紅葉なのですが、見頃まっただ中の観察会となりました。しかも数年ぶりのきれいな紅葉!赤がよく出ています。十和田湖に来て4度目の秋ですが、一番きれいでした。
 この好条件の中、参加者、スタッフ、遊覧船関係者等も含め総勢約180名。人数過去最多を記録しました。




 午前中はまだ雲が目立っていましたが、午後にはすっかり晴天!約1週間ぶりです。そして予報ではまた1週間雲に覆われるようです。


 こんな日に活動が活発になるのは生き物共通なのでしょうね。子クモが糸を長く出して風に乗せ、その糸にくっついたまま風まかせに飛んで移動する「雪迎え」(雪が降る前に多く見られることから)やその糸だけが空中を漂う「遊糸」、綿のような蝋物質を身にまとい、ふわふわ白い雪または埃のように飛ぶアブラムシの仲間の「雪虫」(こちらも雪が降る前に多く見られるそう)などがたくさん、午後の日に照らされきらきらと湖上を渡っていきました。黄金色の山となめらかな湖面、そこに挟まれて細かったり粒だったりの光が流れていく様は、とても幻想的でした。


埃っぽく見えるのが「雪虫」。クモの糸も混じっているはずですが、うまく写せませんでした。



 観察会が終わったあとは、そのまま休屋の巡視を行いました。そこでボート屋が冬支度をしているところを見つけ、雪迎えや雪虫と同じ、虫も人も冬前の貴重な小春日和に厳しい冬に向けて準備をしているのだなぁと思い、昔から続いてきた変わらない自然と生き物の関係を見た気がしました。