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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

蒲生干潟のいきもの 「コニワハンミョウ」

2012年05月22日
仙台
こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
しばらくぶりに蒲生のいきものについてのお話です。

震災前の干潟の周囲には、ヨシ、アイアシなどが生育していたのですが、巨大な津波は蒲生干潟の様子を一変させてしまいました。あれから、14ヶ月が過ぎ、一体どのような変化が起きているのだろう?
今日は昆虫の仲間から「コニワハンミョウ」についてお伝えします。

まずは発見場所の環境です。写真は震災前の2月25日の写真です。この時は放置されたゴミが気になり撮影したのですが、巡視ルート入口で柵の奥にヨシ原が広がっています。

震災後3月30日のほぼ同じところからの写真です。すっかりヨシは無くなり砂浜のようになってしまいました。その後、残ったマツ林、ヨシやアイアシが消えたところはどうなるのかと、観察していました。

今年4月30日に上の2枚の撮影場所を中から撮影したものです。踏み後の凹凸がわかると思いますが、ここは現在サーファーの皆さんが海岸へ出るためのルートになっています。

ここで海浜植物やヨシ、アイアシなどの調査を行っていた時にコニワハンミョウに出会いました。

コニワハンミョウは砂地、河原、海岸などのあまり草が生い茂っていない環境を好み、大きさは10~13mmと大顎でほかの昆虫を狩りします。私たちが歩くたびに膝丈位のところをフワ~ッと跳び、もう少し近づいて撮影したいと思ってもすぐ跳んでしまうので思うように撮影させてくれません。見回すと、半径5mに10匹は確認できましたからそれ以上いると思われます。

平成22年夏には違う種類のカワラハンミョウを蒲生の海岸で確認しましたが、23年夏には確認できませんでした。そんな中、コニワハンミョウを観察することができたので、ヨシ原から砂地に変化したことが原因か、これまでもともと生息していたのかわかりませんが、コニワハンミョウの餌になる昆虫もいるのだと思うとワクワクしています。
これからも蒲生干潟の環境の変化といきものを見ていきたいと思っています。