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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

急遽の「熊棚観察会」

2011年10月25日
鹿角
急遽の「熊棚の観察会」

 10月24日、今日は八幡平VCに集合して大沼歩道の樹名板の取り外しの日です。
集合時間の30分前には12名のPVの方達が集まり、周辺の熊棚のことが話題となり、それでは確認しなければならないということになり、出かけることになりました。

 ここ数日間の目撃情報によると、どうやらこの熊はお盆の頃に大沼を賑わせた母熊(仮称:大沼子)ではないか。小熊の目撃はないが、二頭が木に登っていたか、または親は木の下に枝を落として小熊がそれを食べた痕跡があるかを確認したいと思いました。

 場所は八幡平VCからアスピーテラインを200メートルほど下がったあたりの車道上、周囲をぐるりと見渡すと10カ所以上、あそこにもここにもと数え切れないほどの熊棚が見えます。ほとんどがブナの熊棚と思いましたが、ナナカマドも混じっていました。道路から10メートル程しか離れていない、爪痕の生々しい場所もたくさんあります。

今年のPVスキルアップ研修で熊の講義の先生は、地表にブナの実がたくさん落ちていれば熊棚をかけないと言われていました。とすれば、やっぱりブナの実の不作が原因かな、と想像できました。

では、これほどの数の熊棚は何頭の熊の仕業だったのでしょうか。この夏に大沼周辺での確認の熊は3頭ほどですが、これは複数の熊たちの食事の後だったのでしょうか。何時ぐらいの時間帯であったのか、紅葉のシーズンの車の人たちは目撃したのだろうか、熊は車を恐れなかったのだろうか。次々に疑問は膨らみますが、PVの皆さんは「県境を越えてでも複数のやつらがここに集まってやったに違いない」、という結論でした。そして、熊棚は奥山で見かける珍しいものと思っていたが、これほどの数を見るのは初めてということでした。
運が良ければ「大沼子」に会えるかもしれないと期待しましたが残念ながらPVの猛者連の前には姿を見せてくれませんでした。

熊の仕業の直径5センチ程の折られたブナの枝は半分ほどをかみ切った歯形が生々しく残っていました。

この観察会の2日前に幸運にも母熊の「大沼子」の木(アズキナシ?)の上での食事風景をカメラに納めることができましたので紹介いたします。


「あれも、あそこにも、すごい数だな」と熊棚の数を数えました。これは何頭の仕業なんだろうか。と口々に、観察会は静かな緊張に包まれました。

道路から近い熊棚に行くと、ブナの幹には登り・下りの爪痕が生々しく、足下には枝が散乱し、頭上には何カ所も熊棚がかけられていました。

食事中の「大沼子」心配していましたが、久しぶりに会うことができました。片足が枝から外れても掴まり直して食事に夢中です。邪魔するつもりはなかったのですが、この後、気づかれてしまい、どこかに行ってしまいました。