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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

カバイロツルタケの観察事例

2011年09月13日
秋田
 昨日は「中秋の名月」だったのですが秋田県内は雨や曇りの生憎の空模様、残念ながら”まんまるお月様”は見られませんでした。そして今日も朝方を中心に強い雨が降り県北部を中心に大雨警報も発令されていました。暑さは一段落した感がありますがジメジメした不快感が続きますね・・・




 今日はそんなジメジメした日に観察したちょっと変わったキノコの観察事例を報告します。と言っても珍しいキノコを発見したのではなく、よく見る【カバイロツルタケ】が面白い状態で発生した事例と、これってどういう事?と不思議に感じた事例ですのでお気楽にお付き合い下さい^^


 最初はこれ!


 登山道脇に発生した【カバイロツルタケ】です。上から見た写真と横から見た写真を並べてみました。
 伸長して傘を展開しようとしたところで障害物に阻まれて傘が歪んでしまっています。その状況が解りにくく感じるのはつい最近行われたらしい草刈り作業でその障害物となった植物が刈り払われているためです。
 この辺りではマイヅルソウやサンカヨウが葉を展開する時に落ち葉などが邪魔をしてキレイに葉を広げられない個体を見かけることがありますがキノコでもそうした事例が起こりうるんですね?


 続いてはこれ!


 ごく至近距離に、しかも同時期に2つの【カバイロツルタケ】が発生したのでしょう。お互いにお互いが障害物となって傘が丸く展開せず、いびつな形となっていました。
 同じように上から見た写真と横から見た写真を並べてみました。横から見た写真ではお互いの傘の具合が見て取れます。キノコには束生あるいは群生状態で発生する物があり、それらはもっともっと窮屈に見えますが、それでもこの様に邪魔しあって形が悪くなる事はないと思っていました。この2つの【カバイロツルタケ】は仲が良いんだか?悪いんだか?


 最後はこれ!


 多分これも同じ【カバイロツルタケ】であろうと思うのですが・・・これは一体どんな状況なのでしょうか?上から見ると花びらのような形状になっていますし、横から見ると繊維に沿って脱落しているのが見て取れます。
 何者かがこのキノコを食べたのかとも思いましたが、こんな芸術的な形で食べ残すことはないだろうと思いますし、状態を見ても老菌となって変色し、溶け始めたといった雰囲気はありません。触った感じもまだハリがあって元気さを感じたのですが・・・。結局のところ、全く見当が付きません。



 この時期は、キノコを探す気がなくても様々なキノコが目に入ってきます。「森のもう一つの主役」とも言われるキノコ達ですが、この時期は間違いなく完全なる「主役」です!!お馴染みのキノコでもよく見るとこのように面白い観察が出来ますよ。