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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

大潟草原のヨシ原のイトトンボ

2011年09月12日
秋田
 大震災から半年が過ぎました。最近は普段の生活の中に『被災地支援』が浸透してきているように感じます。例えば、スーパーなどに買い物に行くと被災地で生産された物が色々と売られていたり、普通に買い物をしても売り上げの一部を被災地へ寄付するという仕組みが出来上がっていたりして「自然に」被災地支援が出来るようになってきていることを感じます。
 これからも息の長い支援が必要ですから、このような動きがもっともっと続いて、どんどん大きなものになれば良いな~と願う今日この頃です。
 
 



 はい、今日は大潟草原鳥獣保護区内で調査を実施する時、水際や観察路の低い位置に見かけるイトトンボの話です。


 ヨシ原では先ずハラビロトンボやシオカラトンボ、チョウトンボ等が出現し、遅れてノシメトンボやマイコアカネなどが見られます。このイトトンボはそれらよりもちょっと早めに出現して、今もなお観察する事が出来ている出現期の長いイトトンボです。




 調査をするときには、上空を飛ぶ野鳥や、ヨシ原を動き回る野鳥に注意を向けているため、なかなか足下の小さな生きものにまで注意が及ばないのが悩ましいところですが・・・だいたい見られる場所が一定だと言うことが解ってきましたのでその場所ではこうしてトンボも観察しています。
 このイトトンボは(多分)【アジアイトトンボ】という名のイトトンボの中でも小型の部類に入るトンボです。分布は日本全国に及んでいるそうですが北海道や東北北部では他地域に比べて限定的なんだそうです。


 大潟草原鳥獣保護区内のヨシ原にもアメリカザリガニ等、トンボの幼虫を捕食する生きものが多く生息しているので、トンボが生息する環境としては決して良くないと思っていましたがこの【アジアイトトンボ】は逞しく生き抜いています。幼虫の時も成虫になってからも多くの捕食者がいる中で日々の生活を送っていながら長い期間観察できている彼らの強さの秘訣は何なんでしょうかね?きっと食物連鎖のトライアングルの頂点に君臨する生きものにはない独特の強さをもっているんでしょうね?


 何時も行く仕事場で、ある一定期間ずっとそこにいて、いつでも逢える存在だったこのトンボ。ある日、なんて名前なんだろ?と思い、調べてみて・・・【アジアイトトンボ】だと解ると今度はどんな所に住んでるんだろ?と分布や生息環境が気になったり・・・。そのうち自分は『アクティブレンジャーとしてここをずっと見てきたのに知らないことが多すぎる!』と思い知らされてます。