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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

首を長くして待ってます

2010年10月22日
秋田
 夜になると暗闇の空からハクチョウ達の鳴き声が聞こえてくるようになりました。秋田県内でもハクチョウの飛来が確認され、『冬の使者到着』なんて見出しも見られます。



 そんな季節を待ちわびている(?)ハクチョウ達が大潟村とその周辺にいます。1羽は翼を怪我して飛べなくなったオオハクチョウ、もう1羽はやはり翼を痛めて骨が見えているコハクチョウ。どちらも成鳥で南の池や西部承水路、その周辺の田んぼで元気に過ごしています。

 この時期、群れで渡ってくる仲間達のように大空を飛ぶことが出来なくなった彼らはこの地域を「終の棲家」に決めたのでしょうか?それぞれお気に入りの場所があってそこで羽繕いをし、のんびりと過ごしている姿を見るとなんだかホッとしたりもします。
 そんな彼らも時々「いつもの場所」から姿を消すことがあります。歩いての移動しか出来ないはずですからそんなに遠くまでは行っていないはずと思いきや・・・よくこんなところまで歩いてくるな~と思ってしまうほど遠くで見つかることもあります。

 そんな機会に触れる度に、彼らも色々な場所へ旅をしたいのかも知れないな~と感傷に浸ってしまうのですが、最近は続々と仲間のハクチョウたちが上空を移動していっているのが彼らの目にも入っているはず!!上空を飛びながら挙げている鳴き声が彼らの耳にも届いているはず!!
 それを彼らはどんな気持ちで見ているのか?聞いているのか?私には想像するしかありませんが・・・


 いつ来るかも解らないのに待つってツライよね?
 もうそろそろ来るはずだと思いながら過ごす時間って長く感じるよね?
 自分の存在に気付かずに通り過ぎていくのを見送るのはツライよね?


 それとももっと前向きに捉えているのかな??


 怪我をして飛べなくなってしまった彼らにはお互いにパートナーもいません。きっと日々の生活も心細いものでしょう。危険を感じ、一人(一羽)神経をすり減らしているのかも知れません。


 南の池の【オオハクチョウ】
 

 西部承水路脇の水田の【コハクチョウ】

 大潟村やその周辺で2回目の夏を過ごした彼らは、仲間達がやってくる冬を首を長くして待ちわびているように見えるのは私だけでしょうか・・・・。