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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

この時期、乳頭のブナの森はおもしろい

2010年03月02日
鹿角
 一面まだ雪と氷の世界なのに、陽光がほんの少しばかり強くなったこの時期
乳頭のブナの森へ出かけてみました。最初に出会ったのは道路近くの枯れ木に
開けられたばかりの楕円形の大きな穴。穴の縁には鋭いノミで削ったような筋
がはっきりと残り、雪面に散らばった木片は通常目にするものより遥かに大きなサイズでした。同行のボランティアさんが、数年前に見たという大型の黒い
キツツキの話をしてくれ、その姿を確認できなかったものの不思議と嬉しい気持ちになりました。
 雪の上にはウサギやリスの足跡が縦横に駆け回り、その跡を一直線に横切る
キツネの足跡も確認できます。夏の間は笹と灌木で入ることのできないところも思いつくまま自由に歩きます。乳頭のブナの森の主、ツキノワグマの痕跡もいたるところで見ることができました。私たちのすぐ直前を歩いたニホンカモシカの足跡を追っていくと、湯気が出そうな「新鮮な糞場」にでくわしました。その一帯だけヤマブドウがまるでブドウ園のように林立してブナの木に巻き付いている不思議な空間も発見しました。
 乳頭温泉郷の周囲に広がるブナの森は二次林ですが、地元の人達が大切に守ってきたおかげで、今では多くの生き物達が生きている証しを目にすることができます。2月28日に行われた「乳頭ブナの森 生き物みっけの雪上ハイキング」に参加して、なんだかこの森から生きるエネルギーをもらった気持ちに
なったのは私一人かしら?

どんなキツツキが穴をあけたか想像するだけでも楽しい

夏の間は入れないブナの森の奥に大きなクマ棚が残っている