ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2009年7月

40件の記事があります。

2009年07月27日蒲生干潟のまっくろくろすけ

仙台 鎌田 和子

蒲生干潟です。海岸には、夏休みに入ったことからいつもより大勢のサーファーや魚釣りの人々が訪れています。それでも蒲生特別保護地区内はいたって静か、ただ潮風が草原を駆けぬけ草が波打っています。

干潟で一番目立ついきものを紹介します。またカニなんですが、これが実にかわいいのです。大きさは大きくても成人の親指の爪位の甲羅、目立つといいましたが甲羅は砂模様ですから、じっとしていると足元にいても?どこにいるのか分からなくなります。しゃがみ込んで観察しているとしばらくすると私の回りがカニだらけとなります。小さなハサミで甲羅をなでてお掃除したりお食事をしたりしていますが、私のちょっとした動きでそれぞれの巣穴に一斉に隠れてしまいます。


このカニたちは、コメツキガニです。巣穴からの出入りは、まるで「となりのトトロ」に出てくる「まっくろくろすけ」のようです。一度は観察してみてください。


また、砂浜では、ウンラン(ゴマノハグサ科)が咲きだしました。海岸の前線部だと写真のようにこじんまりとしていますが少し他の草が生えているような場所だと伸び伸びと葉を成長させ、同じ植物かと思うくらいに変化しています。

蒲生の海は楽しいよ!

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2009年07月24日飛んだぁ~

秋田 足利 直哉

 今日は国土交通省 森吉山ダム工事事務所が主催する『森吉山ダム公開セミナー』で「アクティブレンジャーの目で見た森吉山周辺の野鳥たち」と題して講演を行ってきました。主催者の期待に応えられたかどうか解りませんが、大役を無事に勤めて、今はほっと安心してます。


 
 さて、もう一つ「安心」した話を・・・


 今日は【タンチョウ】の「決定的瞬間」をお伝えしようかと思います。

 ↓の写真は、秋田で過ごしている【タンチョウ】が静止状態から頭を下げて、助走に入り、飛翔するまでを大まかなコマ送りにした写真です。


頭を下げて・・・


ダダダダーッと助走して・・・


飛び上がりましたぁ~!!


 おそらくこの日記を読まれている方の中には『おいおい・・鳥が飛ぶのは当たり前だろ?何処が決定的瞬間なんだ?』とお思いになった方もいらっしゃるだろうと思います。

 この写真はこの【タンチョウ】が初めて飛び上がった”決定的瞬間”なんです。実はこの【タンチョウ】は換羽を行っている最中で、つい先日まで彼は『飛べない鳥』だったんです。【タンチョウ】の換羽はもちろん始めてみましたが、初列風切と次列風切の全てをごっそりと落として行うので一時的に飛べなくなります。それが先日ついに換羽後はじめて飛翔したのです!それ以前から本人(本鳥?)は飛ぶ気満々だったようで、未だ羽が短い状態にもかかわらず翼をバタバタさせて(助走のように)走り回ったり、ほんのちょっとふわっと浮き上がったりはしていたそうですが、この様に足をピンと伸ばして飛んだのはこの日が初めてだったようです。

 羽が伸びきらず飛べない期間は『どうか無事に過ごしてくれよ』と祈るような気持ちでしたが、これでようやく安心です!!(飛んだら飛んだで別の心配もありますが・・・)


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2009年07月24日憩いの広場

仙台 鎌田 和子

蕪栗沼です。周りの田んぼのイネもグングン草丈を伸ばしています。また、沼周辺でもヨシやマコモが私たちの立ち入りを遮るかのように背丈をのばしています。

この頃の雨で蕪栗沼や白鳥地区の水位も上がり、5月下旬に出かけたコアゾーンの沼底のひび割れもすっかり分からなくなりました。



白鳥地区のいつもみんなが集まるところです。ここはダイサギ、アオサギ、カルガモやカイツブリ、居残りしている1羽のオオハクチョウなどが憩いの広場なのか、くつろいでいます。見ている私までがホッとする場所でもあります。


ここでもトンボに出会えます。コバネアオイトトンボのメスです。よく見ているとイトトンボやヤンマなど草に止まる時、翅を閉じていたり、写真のように半開していたり、その種類によって特徴がありますから、じっくり観察してみてください。

水路にはタヌキモが水面より上に黄色い花を咲かせていました。沈水性の水草、食虫植物で茎や葉に捕虫嚢があり吸い込むようにして微小動物を捕えるそうです。

私の担当している国指定鳥獣保護区4ヶ所の内3ヶ所はラムサール条約登録湿地、蒲生干潟も湿地です。どうしても、共通することや、違うところがあります。そんな小さな違いが見えればと思っています。

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2009年07月23日不思議なトンボ

仙台 鎌田 和子

伊豆沼です。またトンボの話題ですが、7月になってから私の視界に
「あれっ!ベッコウトンボ?まさか~」ということが何回かありました。その謎が解けましたのでお知らせいたします。

不思議なトンボ実は「コフキトンボ」でした。オスはシオカラトンボに似ているのですが、東北から関東地方では大部分が白粉型で、10~20%が写真のようなオビトンボ型になるそうです。九州や沖縄ではまたちょっと違う感じらしのです。なんで同じコフキトンボなのに別の種類のように見える姿をしなければならないのでしょうか?不思議です。


伊豆沼に行くたびに湖面に変化があります。現在は、黄色のアサザ白色のガガブタの花が満開です。小さな花たちですがとてもきれいです。


ガガブタの花です。よく見ると雌しべが長い(長花柱花)と雌しべが短い(短花柱花)2種類の花がありますからじっくり観察してみてください。
注意:覗き込んで沼に落ちないよう気を付けてくださいね。

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2009年07月23日大集合

秋田 足利 直哉

 山形県酒田市にある猛禽類保護センターでアクティブレンジャー写真展を開催中です。今年度は2つのタイトルの写真展が東北各地のビジターセンターなどで開催されていますが、こちらでは2つ同時に開催中です。これから夏休み!涼しい鳥海山麓にお出かけの際には是非お立ち寄り下さい。詳しくはこちらをご覧下さい。



 さて、この日記でもお伝えしてきたサギのコロニーですが、昨日見た印象ではほぼ半数の巣が空になっているようです。つまり【アオサギ】も【ゴイサギ】も【ダイサギ】もそれぞれ半数以上が既に巣立って、それぞれの生活を始めました。
 今日は、その巣立ったサギたちは何処でどう過ごしているのかをお伝えしようかと思います。


 先ずは【ゴイサギ】ですが・・・


 コロニーの東側にある南の池のまわりに繁茂するヨシ原の中に集合しています。見ると、成鳥も巣立ち雛も若鳥もみんなまとまって過ごしています。きっと今年生まれたばかりのホシゴイも子育てを終えた成鳥も同じ場所で過ごしているんでしょうね?
 夜はどうしているのか解りませんが、日中は南の池で”まったり”して過ごしているように見えます。



 続いて【アオサギ】です。


 こちらも南の池に大集合しています。半島状にせり出した場所に、どういう訳か今年生まれたばかりの幼鳥だけがまとまって過ごしています。時々成長の姿も見かけますが、基本的には若鳥や成鳥は極々少数派です。同じ鷺の仲間でもその点でゴイサギとは大きく異なります。


 【ダイサギ】については、数が少ないこともあってか?これほどまでに集合している箇所はありません(私が知らないだけかも知れませんが・・)。



 ご紹介した、シーンはどちらも毎年繰り返される光景ですが、ここで何をしているのか?単独行動を好むイメージのあるサギたちがどうしてこんなに多くの個体が集まって過ごしているのか?私には良くわかりません・・・どなたか理由を知っている方はいらっしゃいませんでしょうか??


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2009年07月22日避難中

秋田 足利 直哉

 雨、雨、雨・・そろそろ降り止め!!
 この大雨は各地で甚大な被害をもたらしています。今日現在も各河川の水位が高いままのようで、橋を通る度に不安に駆られます。更には巡視に向かう道路が決壊しているようです。これ以上被害が大きくならなければいいのですが・・・


 さて、大雨で生活に支障が出ているのは野鳥たちも同じようです。
 大潟の水辺や水田の上空を飛び回りながら虫を捕らえている姿をよく見かける【ツバメ】ですが、こうも雨が強く、風も吹き荒れると流石に避難するしかなさそうです・・・。



 3羽が寄り添うようにしてヨシに止まっていました。もしかして、こんな狭い範囲でもより上の方に強い風が吹いているのでしょうか?一番右の個体は落ち着きがなく、何度も体勢を入れ替えたり、隣の個体にもたれかかったりしていました。



 よく見ると、手前にももう1羽の【ツバメ】がいました。見渡すと全部で6羽の【ツバメ】が避難中でした。
 彼らもきっと早く天気が回復することを願いながらじっと耐えているのでしょうね??天気には逆らえませんからね・・・


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2009年07月21日アカ or オオアカ

秋田 足利 直哉

 3連休はずっと雨でした。既に報道等でご存じのように秋田県内も各地で大雨による被害に見舞われました。雨の降り方は尋常ではありませんでしたから一見、無事に見える場所でも地盤が酷くゆるんでいます。細心の注意をもって行動しましょう!!


 さて、前段の大雨被害の話しのまとめにある「細心の注意」にからめて話をするのはいかがなものか?と気後れしますが・・・我々アクティブレンジャーの仕事の中には「調査」もあって、私の場合、国指定鳥獣保護区内の野鳥生息調査を定期的に行っています。
 その際には当然、「野鳥の識別」をする必要があります。その識別には細心の注意が必要だという話なんですが・・・この日は山の鳥獣保護区にしては鳥影が多く、鳴き声だけではなく姿もたくさん見ることが出来ました。
 その中に↓の野鳥がいました。唐突ですが・・・この野鳥はなんという種でしょうか?



 パッと見て、「頭が赤い」「下腹部に黒っぽい縦線がある」ので【オオアカゲラ】と思ってしまうのは私だけでしょうか??では↓の写真をご覧下さい。同一個体が横向きになった際に撮影したものです。



 どうでしょう??(野鳥に詳しい方はつまらない話をしているな・・・とお思いになるかも知れませんね?)
 背中(肩羽の先端)に【アカゲラ】に特徴的な白斑が見えます。よく見ると胸の辺りには黒い縦斑がありません。と・・いうことは??

 パッと見て識別していれば、この個体は【オオアカゲラ】としてカウントしていたかも知れませんが、注意してみると【アカゲラ】の幼鳥であることが解ります。危ないところでした・・・


 こうして書いてくると「常に細心の注意を払っている」とアピールしているかのように思われそうですが、実はこれには布石があって・・・以前十和田の種村ARが保護したキツツキの記事を書いた時『頭をぶつけているようだったので、あまり詳しい判別に至らず種名がどちらかとははっきりと言えないです。』と書いてありました。
 これを参考にし、念頭に置いて調査していたのが幸いしました。勿論、この時期はたくさんの幼鳥が居ることも承知していますし、余程のことがない限りパッと見ただけでは識別しないように心がけていますが、まだまだ未熟な私は往々にして油断をします(こんな事を言いきるな!とお叱りを受けそうですが・・・)。
 森吉では観察機会の多い【アカゲラ】【オオアカゲラ】は随分と見慣れてきた感じがしますが、やはり油断大敵!細心の注意が必要です!!



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2009年07月17日オニノヤガラ

秋田 足利 直哉

 今日は西目屋の石橋ARが秋田県立大学の公開セミナーで行った講演を聞いてきました。同じアクティブレンジャーの仕事ぶりに触れる機会はほとんど無いので貴重な時間でした。アクティブレンジャーの仕事にはこういったものもあるんです。


 さて、今日のネタはこれ↓!!見たことありますかね??



 図鑑に因れば分布は北海道・本州・四国・九州となってますから、見たことあるって言う方も多いかと思います。
 名前を【オニノヤガラ】と言います。ちょっと話は逸れますが・・・ちょっとお年を召された方と植物や野鳥の名前の話をすると『図鑑に書いてあるのはみんなカタカナで解りにくいよな?』という声をよく聞きます。図鑑などの名前は「標準和名」をカタカナ表記するようになっていますから、どれも皆カタカナですが、確かに漢字表記にした方がその植物や野鳥をイメージしやすい事もあります。
 今日、ご紹介する【オニノヤガラ】もその一つで、漢字では【鬼の矢柄】と書きます。



 真っ直ぐに伸びた花茎を弓矢の矢柄に見立てて付けられた名前だそうです(鬼はどこから来たのか解りませんが・・・)。そう言われてみればピンと立ったその様子と花の付き方が矢柄に見えなくもない・・・ですよね??

 『和名なのになんでカタカナなんだ?』という疑問をもってこの花の名前を見ると『和名はやっぱり漢字だよな?』って思ってしまうかも知れませんね?


 ちなみにこの【鬼の矢柄】はランの仲間で葉緑素を持たない腐生植物です。ナラタケの菌糸と共生し、その地下茎はナラタケ菌から養分を得ているそうです。

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2009年07月17日環境学習「オオハンゴンソウを除去しよう」

仙台 鎌田 和子

昨日、伊豆沼で地元の中学生による環境学習が行われました。
登米市立新田中学校全校生徒120名が伊豆沼登米市側の駐車場を中心に外来植物駆除を目的にオオハンゴンソウ、セイタカアワダチソウなどを抜き取る作業です。昨年までは、マコモを植え付ける作業でしたが、周りの外来植物が増えて来たことを危惧し今回の学習だそうです。

これからここでは、外来植物駆除事業が行われるので私たちも少しだけお手伝いしました。





はじめに伊豆沼・内沼環境保全財団の講師陣から、オオハンゴンソウ、セイタカアワダチソウ、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギとヨモギ(在来種)の違いを見てもらい、2班に分かれ抜き取りをしました。

3年生の班はオオハンゴンソウの大きな株の抜き取り、大きな穴が開いたところは埋め戻しながら、みんな頑張りました。引き抜こうとしても思うように抜けず、四苦八苦の場面も・・・。それでもオオハンゴンソウは持ち帰り禁止で除草の山ができました。


オオハンゴンソウは花を付けていない株でも根の部分はこんなに大きくなっています。本当に抜き取る作業は大変でした。
120名の力はスゴイ!
新田中学校では、これからも自分たちの家の周りにも目を向け、気がついたら取り除くよう呼びかけをしてこの日の作業は終わりました。

皆さん、暑い中お疲れ様でした。

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2009年07月17日力を合わせて登山道整備

十和田八幡平国立公園 鹿角 大堀 拓

 十和田八幡平国立公園の南端に位置する秋田駒ヶ岳から北方の八幡平へ、あるいは東の岩手山に向けて、アップダウンを繰り返しながら登山道が延びています。大小の湿原を通りながら、公園内の主要な山並みを展望できるこのルートは昔から静かな山旅を愛する人達に利用されてきました。

 しかし長年の利用と雨水の影響で浸食が進み、歩行に支障をきたす箇所も
あちこちに目立つようになっています。「このまま放置するのは危険、登山道の整備は皆で力を合わせて」という声があがり、路肩崩壊が一番激しい笹森山登山道の整備に取り組みました。集まったのは地元自治体やパークボランティアなど17名。降雨と濃霧という悪条件でしたが、重い鉄筋やつるはしを背負子につけて出発。ずぶ濡れになりながらも、なんとか階段状登山道の復元作業をやりとげることができました。

 作業終了後に八合目避難小屋で開かれた反省会では「様々な人達との共同作業で考えた以上の成果が出た」「雨の中、休憩もとらない皆のがんばりに感動した」といった声が聞かれました。この他に蒸ノ湯登山道でも様々な組織・個人の協力による登山道整備が取り組まれています。試行錯誤の連続ですが八幡平でも「登山道整備」に向けての小さな一歩が今、始まったところです。



整備前の笹森山登山道、浸食で階段状の登山道が崩壊している。

自然公園管理員をリーダーにして出発前、念入りに作業の打合せを行う。

歩道の階段を鉄筋とかすがいで組み直し、敷石で埋め戻すとやっと登山道らしくなってくる。

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